2014 Fiscal Year Annual Research Report
正標数の体上のモチフィックコホモロジーのホモトピー論的研究
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13F03747
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
齋藤 秀司 東京工業大学, 理工学研究科, 教授 (50153804)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
KELLY Shane 東京工業大学, 理工学研究科, 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2013-04-26 – 2016-03-31
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Keywords | モチフィックコホモロジー |
Outline of Annual Research Achievements |
モチフィックコホモロジーとは、代数多様体あるいはデデキント環上有限型なスキームにたいし定義される不変量である。これは代数体の整数環のイデアル類群や単数群、代数多様体のChow群などを一般化した重要な研究対象である。1980年代にS.BlochはChow群を一般化した高次Chow群を定義し、正則スキームにたいしてはこれがモチフィックコホモロジーに期待される性質をもつことを示した。本研究が対象とするのは「数論的スキームのモチフィックコホモロジーは有限生成アーベル群である」という予想である。この予想は、代数体のイデアル類群が有限であること(Minkowskiの定理)、代数体の整数環の単数群が有限生成であること(Dirichletの定理)、代数体上のアーベル多様体の有理点のなす群が有限生成であること(Mordell-Weilの定理)の一般化である。この予想は、数論的スキームのゼータ関数の特殊値予想(Tate予想、Beilinson予想、Bloch-加藤予想)の大きな部分を占める重要な未解決問題で、Mordell-Weilの定理と1次元の場合(代数体の整数環あるいは有限体上の曲線)を除いては殆ど結果は知られていなかった。 当該研究は予想に対する貢献を与えた。ひとつは、加藤予想の部分的解決から有限体上滑らかな多様体のモチフィックコホモロジーの有限性の新たな結果を導いた。さらにこの結果をVoevodskyのモチーフの理論を用いて拡張し、有限体上の(固有的とも滑らかとも限らない)スキームのモチフィックホモロジー(Blochの高次Chow群の一般化)の有限性定理に拡張することに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該研究の当初の目的は,加藤予想の完全な解決と加藤予想のモチフィックコホモロジーの有限性予想への応用のふたつである。前者については進展が得られなかったが、後者については進展を与えることに成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
研究実績で述べたモチフィックコホモロジーの有限性予想にさらなる貢献を与えるために加藤予想を解決に取り組む。加藤予想は、有限体上の滑らかで固有的なスキームXにたいし加藤ホモロジー KH_q(X,Z/nZ) がq>0 にたいし消えていることを主張する。当該研究者の先行研究で、nがFの標数と互いに素ならq>0にたいしKH_q(X,Z/nZ)=0 であることが示された。本年度の研究計画は、nがFの標数と互いに素という仮定を取り除くことである。そのために加藤予想を「同変的な加藤予想」というより広い枠組みで考察する。
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Research Products
(8 results)