2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13F03754
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
森 利之 独立行政法人物質・材料研究機構, 電池材料ユニット, グループリーダー (80343854)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
SMID Bretislav 独立行政法人物質・材料研究機構, 電池材料ユニット, 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 燃料電池用電極材料 / 省白金 / セリアナノワイヤ / カソード |
Outline of Annual Research Achievements |
燃料電池研究開発分野において、燃料電池デバイスの普及促進のために、白金電極使用量を、現状の1/10以下に削減したうえで、市販の白金電極触媒の性能を大きく超える電極触媒材料の開発を目指した研究を推進することが強く望まれているBretislav Smid博士と受け入れ研究者である森は、白金電極触媒とセリアナノワイヤとの界面構造を精密に解析し、そのうえで、白金-セリアナノワイヤ電極を作製することで、燃料電池内における白金量(現在は、総電極材料に占める白金量は50wt%程度)を、1/10である5wt%にしても、高い性能を有する新規省白金電極の開発を実施中である。本年度は、これまでの検討結果を踏まえ、白金担持量大幅低減に必要な界面構造を明らかにするために、電気化学データと光電子分光により得られた結果の相関性を精査する目的で、最表面(軟X線光電子分光法を用いた分析を実施)から15Åまで(SPring8の硬X線光電子分光法を用いた分析を実施)の深さ領域にわたる表面化学組成の分析をこころみた。その際、電気化学測定を行う前の電気化学的前処理条件の違いによる表面組成の変化に注目することが重要であると考えられたことから、電気化学的前処理条件を変えた電極試料を作製し、軟X線光電子分光法及び硬X線光電子分光法を用いた分析を実施した。その結果、酸素1sスペクトルに、この試料特有の表面構造が存在することを示唆する結果が観察された。しかし、酸素1sピークは、不純物としての吸着酸素の影響も大きく分析データに現れることから、現在、注意深い解析を実施中である。森グループでは、すでに目標とする5wt%白金を担持した高性能省白金担持セリア電極も作製ずみであり、それらの試料表面の解析を行うなかで、表面構造の特徴を明らかにする予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
博士論文研究ではSmid博士は、表面分析に取り組んでおり、自身の研究実績アピールでも、表面分析を専門としいるとのことであったが、実際には、自立した研究者として、分析や分析結果の解析を行うことがまだ、できる能力が育成されておらず、実験後のデータ解析及びその解釈がすすんでいない。博士論文研究でのデータは、同じ研究グループの他の研究者に依頼して測定および解析を行ったとのことであった。そこで、最終年度にあたる平成27年度は、自費でチェコ共和国にある出身大学をたずね、データ解析及び、さらなる表面分析を、博士課程時代にお世話になった指導教員とともに行うことで、プロジェクト終了時までに、一定の研究成果をあげる予定でいる。こうした実情をもとに、区分「④遅れている」が妥当であると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度は、チェコ共和国にある出身大学との密接な連携のもと、すでに実施した表面分析結果に基づく詳細な解析と、その解析データをもとにした表面構造の特徴づけを行う。先に「研究実績の概要」でも記載したように、すでに、酸素1sスペクトルには、特徴的なシグナルが検出されており、今後、チェコ共和国にある出身大学との密接な連携のもと、他のスペクトルとの相関性を検討し、これまで取得してある、すべての試料表面からのデータを系統的に解析することで、物材機構内森グループにおいて、すでに開発を達成した高性能省白金電極がもつ、特有の表面・界面構造の特徴が明確になり、さらなる電極性能向上にむけての研究の道筋が明確化するとともに、チェコ共和国にある出身大学であるチャールズ大学との一層の連携強化が可能になるものと期待される。
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Research Products
(1 results)