2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13F03759
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
小泉 聡 独立行政法人物質・材料研究機構, 光・電子材料ユニット, 主幹研究員
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
JANSSENS S.d. 独立行政法人物質・材料研究機構, 光・電子材料ユニット, 外国人特別研究員
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Keywords | 半導体ダイヤモンド / 化学気相成長 / pn接合デバイス / 電子放出 |
Research Abstract |
平成25年度の研究は外国人特別研究員が着任した11月から平成26年3月まで行われた。接合型冷陰極デバイス低電圧動作の鍵であるn型ダイヤモンドの低抵抗化のため、既存のNIMS型マイクロ波プラズマCVD装置を用いて単結晶ダイヤモンド{lll}基板表面にリンドープn型ダイヤモンドエピタキシャル薄膜の高濃度ドーピング実験を行った。水素希釈メタン(0.05%)100Torrにてマイクロ波プラズマCVDを行い、フォスフィンを不純物ガスとして用いてリンドープダイヤモンド薄膜を作製した。不純物ガス濃度(フォスフィン/メタンガス流量比)1000ppmにおいて5kオーム㎝程度の比抵抗を持つn型半導体ダイヤモンドが得られたことがHall効果測定から分かった。比較的低濃度である100ppmから10000ppm程度の高濃度ドーピングまで不純物量の制御性は良好であるが、高濃度化に伴い結晶性の悪化が見られた。多結晶ダイヤモンド薄膜はcmサイズ級デバイスの形成が期待でき、1kオーム㎝程度の比抵抗であれば数オーム程度のオン抵抗動作が可能であり、低デバイス抵抗化の目的にかなう結果が期待できる。また、n型ダイヤモンドの不純物(リン)ドーピング効率は装置により大きく異なることが分かった。プラズマCVDを行うチャンバー内部構造により、1桁程度のドーピング効率の違いが見られる。これは特に高濃度ドーピング時、半導体ダイヤモンドの性能に影響を与えるため、基板サイズ、目的に合わせた装置設計が必要であることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた単結晶半導体ダイヤモンドを用いたpn接合電子源の形成と特性評価を行わなかった。これは、本研究の最重要課題であるn型ダイヤモンド低抵抗化の研究過程で重要な知見がえられたためであり、基礎的なドーピング実験を継続して行った。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の多結晶ダイヤモンド薄膜形成にはシリコンを基板として用いるため、不純物汚染を嫌う単結晶半導体ダイヤモンド研究用実験装置は利用できない。そのため、2011年に終了した研究テーマで使用したダイヤモンドCVD装置を改造し、多結晶リンドープダイヤモンド薄膜成長に用いることとした。なお、多結晶ナノダイヤモンド薄膜成長に関しては外国人特別研究員のJanssens氏がこれまでベルギー、ハッセルト大学で行ってきた合成実験条件等の研究成果を利用するため、関係する研究成果の発表にはハッセルト大学の指導教官、共同研究者との共同発表とすることも想定している。
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