2014 Fiscal Year Annual Research Report
先端イオンビーム技術に立脚したエネルギー変換材料の表面解析
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13F03770
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
石原 達己 九州大学, カーボンニュートラル・エネルギー国際研究所, 教授 (80184555)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
TELLEZ-LOZANO HELENA 九州大学, カーボンニュートラル・エネルギー国際研究所, 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 低エネルギーイオン錯乱 / 表面濃縮 / 水蒸気電解 / 空気極 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は固体酸化物燃料電池と水蒸気電解セルの空気極に使われる複合酸化物の表面化学とイオン伝導機構についての詳細な測定を行った。低イオンエネルギー損失分光測定装置と時間分解二次イオン質量分析装置を組み合わせて、ペロブスカイト型酸化物とルドルスデンポッパー型酸化物の空気極特性と表面組成の関係を検討し、以下の点が明確になった。 1.Naなどの不純物とSrやBaなどの2価カチオンは500℃という非常に低い温度と、30分程度の短い時間で、表面への濃縮とサブ表面の結晶構造の再配列が生じる。 2.これらの表面濃縮では、バルクとは著しく異なる組成となり、とくにバルクを構成する遷移金属は表面から消失し、Aサイトのイオンでのみ表面が再構成される。 3.材料の電気化学的挙動に影響を与える表面濃縮の反応機構について検討し、速度論的に表すことに成功した。 以上のように本研究では非常に初期において、空気極の表面がAサイトのカチオンに覆われることを示すとともに、サブ表面ではBサイトに富んだ組成になるので、表面が電荷の中性から、多くの欠陥が導入されることになることを示した。今後は、これらの表面組成の変化と反応性を変化に着目して検討を行うことを計画している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初は、表面はAサイトのカチオンで濃縮されることが分かっていたが、今回の測定により、このような表面での組成の変化が非常に低い温度でも、また短期間で進行することが明確になったことは意外な成果で、期待した以上の知見を得ることができたと考えている。表面組成の変化から、多くの欠陥が表面に存在し、反応への寄与が推定される。一方で、触媒反応はBサイトのカチオンの影響が大きいと考えられてきた常識を覆す成果になりつつあり、計画以上に進呈していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は遅れているLiイオン電池用の材料の電解液と電極界面の薄膜の分析を行うとともに、燃料電池の空気極の表面組成の変化についてのさらに詳細な検討を行う。 1)空気電池の表面組成の変化について、引き続き検討を行う。次年度は緻密電極をモデル電極として、さらに詳細な変化を検討する。とくに、表面の濃縮による酸素の解離性の変化を18Oを用いて検討を行うとともに、表面濃縮したカチオンとの関係を検討する。 2)Liイオン電池の正極材料に関して、充放電に伴い表面に生成するSolid Electrolyte Interfaceと言われる界面層のLIESおよびXPSによる分析を行う。とくにスパッタ技術と組み合わせて深さ分析を行い、表面層の変化を明確にする。充放電に伴う容量低下と表面層、および界面組成の影響を明確にする。 3)同様に負極におけるSEI層の分析を行い、負極と正極での表面層の変化を明確にする。XPS分析と組み合わせ、バルク内Liの分析を明確にし、容量低下を生じる理由を明確にする。 4)正極に関してLiの拡散性が低下する理由をおもに、TOF-SIMSを用いて検討するとともに、FIB-SEMおよび固体NMRなどを併用して検討し、繰り返しによる容量低下の機構を明確にする。とくに固溶体系といわれるLi-Mn系の正極材料での容量低下機構の検討を行う。
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Research Products
(13 results)