2013 Fiscal Year Annual Research Report
ヘリコバクターピロリの病原性因子とワクチンに関する研究
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13F03775
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
三室 仁美 東京大学, 医科学研究所, 准教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
NYSTROM Sanna 東京大学, 医科学研究所, 外国人特別研究員
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Keywords | 細菌 / ヘリコバクターピロリ / ワクチン |
Research Abstract |
Helicobacter pylori (ヘリコバクターピロリ、ピロリ菌)は、世界人口の約半数が感染しており、胃炎、胃潰瘍、胃がんの原因となることが知られている。我が国においても、抗生物質とプロトンポンプそがし座位による除菌治療が行われているが、薬剤耐性菌の危険性は常につきまとうものであり、ワクチンの潜在的ニーズが非常に高い。 DNAワクチンは、その幅広い細胞性および液性免疫誘導能と安全性・迅速性の特性から注目を集めている。これまでにも、細菌抗原を標的としたDNAワクチンの報告はあるものの、防御ワクチンとしての実際的な効果が期待できるものは未だ報告されていない。 ピロリ菌は胃粘膜上皮に付着定着することが知られているが、胃から脱落したピロリ菌は腸管内でパイエル板に侵入して、ピロリ菌抗原特異的抗原提示が行われると考えられている。それにより活性化したピロリ菌特異的CD4陽性T細胞が胃に集積して、胃炎が惹起される。ピロリ菌はいないの微好気的環境においてはらせん状の形態を示すが、腸管内の嫌気的条件下においては球状体になると考えられている。我々は、球状菌はらせん菌よりも用意にパイエル板を透過する知見を得ているものの、パイエル板を透過するために必要なピロリ菌菌体因子は不明なままである。 そこで本研究では(1)胃に定着するピロリ菌と腸内でのピロリ菌のタンパク質発現パターンを比較して、(2)ピロリ菌ワクチンターゲットとして効率的な菌体形態および菌体因子を評価し、(3)ピロリ菌をターゲットとしたDNAワクチンの確立と最適化を行うことを目的とする。 平成25年度は抗原となる菌体因子の同定を目指して、パイエル板透過を制御する菌体因子を同定するために、らせん型および球状型菌体表面タンパク質のLC/MS/MSを用いた網羅的ショットガンプロテオミクスによる解析を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度は、球状型およびらせん型ピロリ菌特有の菌体表面因子同定のためのショツトガンプロテオミクス解析を行うことができた。これにより抗原となる菌体因子候補の固定解析を大きく進展させることが可能となった。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は以下の実験を行う。平成25年度にショットガンプロテオミクス解析により同定した菌体因子の欠損変異株を作製して、パイエル板透過への関与を精査する。また、ピロリ菌ワクチンを検討する上で重要となる、感染を制御する宿主細胞群の同定を、マウス感染モデルを用いて検討する。
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