2014 Fiscal Year Annual Research Report
ヘリコバクターピロリの病原性因子とワクチンに関する研究
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13F03775
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
三室 仁美 東京大学, 医科学研究所, 准教授 (80396887)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
NYSTROM Sanna 東京大学, 医科学研究所, 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 細菌 |
Outline of Annual Research Achievements |
ヘリコバクターピロリは世界人口の約半数が感染しており、胃炎、胃潰瘍、胃がんの原因となることが知られている。我が国においても抗生物質とプロトンポンプ阻害薬による除菌治療が行われているが、薬剤耐性菌の危険性は常につきまとうことから、ワクチンの潜在的ニーズが非常に高い。 ピロリ菌は胃粘膜上皮に付着定着することが知られているが、胃から脱落したピロリ菌は腸管内でパイエル板に侵入して、ピロリ菌特異的な抗原提示が行われると考えられている。それにより活性化したピロリ菌特異的CD4陽性T細胞が胃に集積して胃炎が惹起される。ピロリ菌は胃内の微好気的環境においては螺旋状の形態を示すが、腸管内の嫌気的条件下では球状体になる。我々は球状菌は螺旋菌よりも容易にパイエル板を透過する知見を得ているが、パイエル板を透過するために必要なピロリ菌菌体因子は不明なままである。 そこで本研究では、胃に定着するピロリ菌と腸内でのピロリ菌のタンパク質発現パターンを比較して、ワクチンターゲットとして効率的な菌体形態および因子を評価し、ピロリ菌ワクチンの確立と最適化を行うことを目指す。 当該年度では、螺旋菌および球状菌の菌体表面タンパク質のLC-MS/MSを用いたショットガンプロテオミクスによる網羅的同定を行い、標的因子を複数同定した。現在これら分子群の欠失変異株を作製している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通りショットガンプロテオミクスによる解析を行い、標的因子を複数同定することができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
同定した分子群の欠失変異株の作製を完了し、in vitroでの菌体の性状を精査するとともに、パイエル板透過への関与を精査する。
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