2013 Fiscal Year Annual Research Report
個人意識・共同体・幸福(well-being)と「無」
Project/Area Number |
13F03791
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
田口 茂 北海道大学, 大学院文学研究科, 准教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
ALTOBRANDO Andrea 北海道大学, 大学院文学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | フッサール / 田辺元 / 西田幾多郎 / 現象学 / 日本哲学 / 間文化性 / 共同体 / 個人意識 |
Research Abstract |
25年度(5ヶ月)は、実施計画の通り、研究代表者・分担者がオーガナイザーとなり、関心をもつ教員・院生が参加した英語によるDiscussion group Phenomenology and Japanese Philosophyを定期的に開催し、当該研究に関する共同討議を進めた。これにより、フッサールの間主観性論および共同化論、ならびに西田哲学・田辺哲学の基本思想、日本語における哲学用語の解釈と欧米語との含意の違い等について、共通の理解の基盤を作り出す作業に従事した。それと平行して、本プロジェクトに関連する最新の文献を収集し、それらを共同で読解・解釈することを通じて、現象学的な間主観性論、日本哲学における共同体論の理論的枠組みについて共同で検討した。とりわけモナド論的間主観性の解釈、自我・自己・主観性の概念、普遍性と個別性についての間文化哲学的検討などが中心的なテーマとなった。代表者は、田辺哲学の現象学的解釈に関して、ディスカッションの成果を反映した二つの発表を行った。分担者は、現象学的モナド論の解釈に関して二つの研究発表を行い、イタリア・パドヴァ大学で三つの研究発表を行った。これらの研究発表により、共同研究の成果を公表すると同時に、多くの研究者から今後の研究のための有益な示唆を得ることができた。また分担者は、パドヴァ大学の日本哲学研究グループおよびヘーゲル研究グループと、北海道大学文学研究科哲学・倫理学講座との共同研究立ち上げに関する準備作業を行った。これらの研究成果により、日本哲学の現象学的解釈および共同性の間文化的解釈が大きく進展したと同時に、今後2年間の共同研究に向けて、研究代表者と分担者のみならず、北海道大学とパドヴァ大学の複数の研究者を含めた幅広い共同研究の地盤を形成することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初計画した内容に加え、研究分担者は、近代日本哲学を多面的かつ全体的に理解するために、キーパーソンである西田幾多郎の研究にも本格的に取り組み始めている。さらに、欧米語での文献読解にとどまらず、日本語文献読解のための日本語習得を本格的に進めている。これらの研究は、当初の予想以上の成果を挙げていると言える。また分担者は、パドヴァ大学と北海道大学の共同研究立ち上げに関しても精力的に準備を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究は、基本的に実施計画に従って進めていく。また、イタリア・パドヴァ大学との研究交流についても、研究分担者の尽力により準備が整いつつあるので、今後研究者の招聘や相互交流を進めていく。これにより、本研究の中心課題の一つである「間文化的に開かれた新しい共同性」の検討を一層効果的に進めることができると考えられる。
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Research Products
(11 results)