2003 Fiscal Year Annual Research Report
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13GS0011
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
吉村 昭彦 九州大学, 生体防御医学研究所, 教授 (90182815)
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Keywords | チロシンキナーゼ / STAT / SOCS / サイトカイン / チロシンりん酸化 / キナーゼ抑制因子 / 関節炎リウマチ / 大腸炎 |
Research Abstract |
サイトカインシグナルの制御機構に関して、我々のグループは世界にさきがけてサイトカイン誘導性SH2蛋白質群であるCIS/SOCSファミリーを発見し、これらの遺伝子がサイトカインの主要経路であるJAK/STAT経路を負に制御し免疫系、造血系を調節していることを示してきた。本年度はサイトカインシグナル制御に関して以下のような成果が得られた。 (1)SOCS1によるTLRシグナルの制御:これまでSOCS1はインターフェロンγの負の制御因子であると考えられてきたが我々の研究によってマクロファージにおいてLPSなどのTLRシグナルも制御することが明らかにされた。 (2)SOCS1のよる樹状細胞制御/免疫寛容への新たな提言:我々はSOCS1-KOマウスとSOCS1-Tgマウスの掛け合わせによってリンパ球ではSOCS1が発現しているがそれ以外では発現していないマウスを作成した。このマウスは自己免疫疾患を呈し特に樹状細胞が活性化されていることが明らかとなった。この結果を基に、我々はSOCS1の発現が樹状細胞の機能ないしサブセットの恒常性を保つ上で重要な働きを持ち、その欠損は樹状細胞に大きな変化を与え、これが免疫監視機構の破綻を引き起こしている可能性を考えている。実際SOCS1-/-マウスでは、通常存在しない樹状細胞のサブセットが顕著に増加しており、異常な抗原認識を起こしている。我々はこの樹状細胞におけるサブセットないし機能の変化が、胸腺の段階で起こるT細胞の自己・非自己の選択あるいは抹消でのトレランスの成立に影響を与え、これが自己免疫性疾患の発症と関連すると考えている。このような考え方はまだ具体性に乏しいが免疫学上の重要な問題に全く新たな概念をもたらす可能性がありさらに追求していきたい。 (3)SOCSと炎症性疾患:SOCS3が大腸炎や関節炎などの慢性炎症性疾患に発現が高いことを見いだし,さらにSOCS3の強制発現によって関節炎モデルを治癒できることを示した。 (4)SOCS3とIL-6シグナル制御:SOCS3はマクロファージにおいてはIL-6シグナルを抑制するために必須でありもしSOCS3遺伝子がないとIL-6が抗炎症性サイトカインIL-10と同様な作用を有することを示した。 (5)SOCS3とT細胞分化の制御とアレルギー性疾患:SOCS3はT細胞におけるIL-12シグナルを負に制御し、生体内においてTh1分化を抑制し、Th2分化を亢進させる働きを持っている。SOCS3の高い発現はアトピー性皮膚炎や喘息などのアレルギー疾患と強い相関があることを見い出した。
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[Publications] Hamano S, Himeno K, Yoshimura A, et al.: "WSX-1 is required for resistance to Trypanosoma cruzi infection by regulation of proinflammatory cytokine production."Immunity. 19. 657-667 (2003)
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[Publications] Hanada T, Yoshida H, Yoshimura A, et al.: "Suppressor of cytokine signaling-1 is essential for suppressing dendritic cell activation and systemic autoimmunity."Immunity. 19. 437-450 (2003)
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[Publications] Seki Y, Inoue H, Nagata N, Yoshimura A, et al.: "SOCS-3 regulates onset and maintenance of TH2-mediated allergic responses Nature Medicine"Nature Medicine. 9. 1047-1054 (2003)
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[Publications] Yasukawa H, Ohishi M, Mori H, Yoshimura A, et al.: "IL-6 induces an anti-inflammatory response in the absence of SOCS3 in macrophages"Nature Immunol.. 4. 551-556 (2003)
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[Publications] Saeki K, Miura Y, Aki D, Yoshimura A, et al.: "The B cell-specific major raft protein, Raftlin is necessary for the integrity of lipid raft and BCR signal transduction."EMBO J. 22. 3015-3026 (2003)
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[Publications] Sasaki, A, Taketomi T, Kato R, Yoshimura A, et al.: "Mammalian Sprouty4 suppresses Ras-independent ERK activation by binding to Raf1."Nature Cell Biol. 5. 427-432 (2003)