2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13GS0022
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Research Institution | Osaka Electro-Communication University |
Principal Investigator |
越川 孝範 大阪電気通信大学, 工学部, 教授 (60098085)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木村 吉秀 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (70221215)
安江 常夫 大阪電気通信大学, 工学部, 教授 (00212275)
生田 孝 大阪電気通信大学, 工学部, 教授 (20103343)
田口 雅美 アルバック・ファイ(株), 技術部・部長
吉川 英樹 独立行政法人物質・材料研究機構, 物質研究所, 主任研究員 (20354409)
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Keywords | 光電子顕微鏡 / 表面・界面物性 / 解析・評価 / 放射光 / ナノ材料 |
Research Abstract |
本年度は、前年度に設計を行った「光電子顕微鏡用焦点位置変調制御システム」および「光電子顕微鏡用光電子エネルギーフィルターシステム」を導入し、システムの動作試験を行って、最適な動作パラメータの決定を行った。本プロジェクトで提案している能動型焦点位置変調法を適用した「極微解析ナノスコープ」の心臓部ともいえる二つのシステムが完備され、最適な動作パラメータが決まりつつあるので、次年度以降に無収差光電子顕微鏡像の取得が可能になると考えている。 本年度の多くは、上記の二つのシステムの導入と設置、およびその特性評価に時間を費やしたが、同じ電子光学系を用いて観察が可能な低エネルギー電子顕微鏡を用いた実験も行った。低エネルギー電子顕微鏡では任意の低速電子回折スポットの拡大・投影を行うが、回折強度の変化がどのような表面構造の変化により引き起こされるかを、顕微鏡像との詳細な比較を行うことで知ることが可能である。この目的のためSi(113)基板上でのGeの成長を取り上げ、検討を行った。この系では成長初期に二次元的な層状成長をし、その後三次元的な島状成長へと移行する。この成長中に低速電子回折強度を観測すると、表面再配列構造の変化に由来する強度変化以外に、回折パターンの変化を伴わない強度異常が起こることが明らかとなった。この原因を知るため、低エネルギー電子顕微鏡像との比較を行った結果、二次元成長から三次元成長に移行するとき、まず微小な三次元クラスターが形成されることにより、回折強度の低下が起こり、その後三次元島が成長するに従い強度回復が起こることが明らかとなった。これは、島の形状に大きく依存しており、三次元島がその表面に基板を平行な面を有するため回折強度が大きいのに対し、三次元クラスターでは基板と平行な面が存在しないため回折強度が低いために生じる。さらにこの手法を用いてこれまでに明らかとなっていなかったこの系の相図を得ることができた。
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Research Products
(18 results)
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[Publications] T.Yasue: "LEEM and LEED Study on Growth of Ge on Si(113) Surface"Journal of Vacuum Science and Technology B. 20. 2496-2499 (2002)
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[Publications] 越川孝範: "低エネルギー電子顕微鏡(LEEM)と光電子顕微鏡(PEEM)の像形成過程と将来展望"表面科学. 23. 262-270 (2002)
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[Publications] 安江常夫: "LEEMによるSi(111)およびH/Si(111)上のCuナノ構造形成過程の動的観察と構造解析"表面科学. 23. 271-276 (2002)
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[Publications] 越川孝範: "低エネルギー電子顕微鏡と光電子顕微鏡による動的観察と構造解析"まてりあ. 41. 884-885 (2002)
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[Publications] 越川孝範: "低エネルギー電子顕微鏡(LEEM)と光電子顕微鏡(PEEM)の表面研究への応用と将来展望"電子顕微鏡. 37. 121-124 (2002)
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[Publications] 生田 孝: "無収差位相差顕微鏡法に関する新しい理論"応用物理. 71. 389-400 (2002)
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[Publications] H.Yoshikawa: "The development of angle resolved XPS equipment at SPring-8 BL15XU"Journal of Surface Analysis. 9. 374-377 (2002)
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[Publications] 吉川英樹: "SPring-8における高エネルギー光電子顕微鏡の開発研究"表面科学. 23. 285-291 (2002)
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[Publications] 松本浩介: "Heガスを用いたBi_2Sr_2Ca_<n-1>Cu_nO_yスパッタ薄膜の組成制御"真空. 45. 297-300 (2002)
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[Publications] K.Matsumoto: "Phase control of Bi_2Sr_2Ca_<n-1>Cu_nO_y superconducting sputtered films using He gas"Physica C. 378-381. 1256-1259 (2002)
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[Publications] M.Arai: "Photoelectron energy-loss functions of SrTiO_3, BaTiO_3, and TiO_2 : Theory and Experiment"Physical Review B. 65. 085101/1-085101/6 (2002)
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[Publications] 田口雅美: "放射光光源を利用したX線光電子顕微鏡(XPEEM)の進展"応用物理. 71. 415-420 (2003)
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[Publications] N.Kuroiwa: "Cu Nano-structure Formation and Structure Analysis on Hydrogen-Terminated Si(111) Surface"Surface and Interface Analysis. 35. 24-28 (2003)
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[Publications] M.Kitamura: "Performance of YB66 double-crystal monochromator for dispersing synchrotron radiation at SPring-8"Nuclear Instruments and Methods A. 497. 550-562 (2003)
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[Publications] 越川孝範: "低エネルギー電子顕微鏡と光電子顕微鏡を用いた表面の動的観察"表面. (in press). (2003)
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[Publications] K.Nishikata: "Real-Time Lock-in Imaging by a Newly Developed High-Speed Image-Processing CCD Video Camera"Review of Scientific Instruments. 74(in press). (2003)
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[Publications] K.Nishikata: "Real-time Lock-in Energy Loss Imaging with a Novel High-speed Image-processing CCD Video Camera"Surface and Interface Analysis. 35(in press). (2003)
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[Publications] Z.Zhang: "Comparison of Energy Loss Functions from REELS Spectra with Surface and Bulk Energy Loss Functions"Surface and Interface Analysis. (in press). (2003)