2013 Fiscal Year Annual Research Report
植物-土壌フィードバックによる多様性維持機構の研究: 空間明示的大規模モデリング
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13J00042
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
立木 佑弥 北海道大学, 大学院地球環境科学研究院, 特別研究員(PD)
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Keywords | 植物-土壌相互作用 / 外来種侵入 / 数理生物学 / 土壌撹乱 / 生物多様性 / シミュレーション / 環境変動 / 森林動態 |
Research Abstract |
[研究目的1]については、シミュレーションモデルの構築が予定通り進捗し、現在、野外データ解析および、これを用いたパラメータ推定に取り組んでいる。 [研究目的2]については、先行研究で、植物-土壌相互作用のもとで外来種侵入が促進されるという結果に対して、環境撹乱とくに土壌生物相を地上部とともに撹乱してしまうタイプの撹乱存在下ではむしろ外来種の侵入は抑制されるという数理解析結果を導き、Ecological modelling誌に掲載された。本研究は生態系管理政策に関して、一様に大規模撹乱(洪水、土砂崩れ等)を抑制する施行は短期的災害抑止につながるが、一方で外来種侵入に関しては促進してしまう危惧が存在する事を示したという点で画期的であると考えられる。 [研究目的3]については、環境変動に伴う生物の応答を研究するモデルとして、サケ科魚類と森林生態系の関係に注目することで具体化を図った。日本国内ではサクラマス(ヤマメ)は生活史において、海洋での生活を経験する降海型と河川に留まり成熟する残留型に分岐する。この分岐割合は環境に影響を受けていることが報告され、地球温暖化に伴う地上部の生産性向上が残留割合を上昇させ、結果として漁業資源として重要な降海型の減少を招くとの報告もある。森林生態系の生産性向上がひいては河川および海洋生態系の改変につながるという点で興味深く、本研究のモデルに相応しいと考え環境改変後の応答について数理モデルによる解析を進めている。進捗は日本生態学会広島大会にて報告を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
論文化が遅れているが、解析は順調に進行している
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Strategy for Future Research Activity |
現在、森林プロットデータの使用許可を各所に申請している。今後許可されれば、学術論文としてまとめる予定である。台湾、マレーシアなどの共同研究者との連絡が律速になっている点に問題を感じるが概ね順調である。 本年度解析を行った研究については、2報の英語学術論文として投稿準備中であり次年度掲載を目指し論文化を進める。
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Research Products
(7 results)