2014 Fiscal Year Annual Research Report
植物-土壌フィードバックによる多様性維持機構の研究: 空間明示的大規模モデリング
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13J00042
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
立木 佑弥 北海道大学, 地球環境科学研究院, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 森林動態 / 生物多様性 / 群集生態学 / 進化生態学 / 数理生物学 |
Outline of Annual Research Achievements |
シミュレーション結果と、実際の森林プロットデータとの比較を行う為に、東アジア沿岸の赤道から日本にいたる各地域で展開されている森林永久プロットのデータを収集し、統計解析をおこなった。結果を論文化し出版することは、来年度への課題であるが、本年度は空間統計解析を行い、森林の空間分布を説明する為には、本研究を遂行する中心的仮説である植物-土壌相互作用が必要であることを見出した。また、シミュレーションのパートに関しては、オーストラリアで開催されたATBC2014 (熱帯生物学会)、大阪で開催されたJSMB/SMB 2014(日米数理生物学会合同大会)で講演し、意見交換および、情報収集を行った。 また、空間明示的大規模モデルを用いた、ササ・タケ類の一斉開花枯死進化に関する論文がJournal of Ecology誌に受理された。タケ類はアジアを中心に全世界的に分布するクローナル植物であるが、長期間のクローナル成長ののちに一斉開花枯死するという特徴的な生活史をもつ。発芽から開花枯死までのクローナル成長期間は種によって異なり、熱帯に分布する種では短く、温帯の種では長いという地理的クラインの存在が知られていた。この地理的クラインに加えて、熱帯の種では地下茎が短く、ラメットが互いに凝集する特徴がしられており、逆に温帯では、地下茎が長く、ラメットが空間的に疎に分布することがしられていた。このクローナル成長期間と地下茎構造に関する興味深い相関関係が進化の結果得られたという仮説を検証するために、 空間明示的数理モデルを採用し、進化シミュレーションを行った。その結果、地下茎の長さが各地域の環境に合わせて局所適応した結果、それらの地下茎の長さに対して最適なクローナル成長期間が存在し、これによって、タケ類で見られる地理的クラインが形成されたという新たな理論を構築した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
東アジア地区のカウンターバートと協力し、森林プロットデータを収集し、解析を行う事ができたが、論文提出に向けた準備がやや遅れており、来年度への課題である。
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Strategy for Future Research Activity |
できる限りはやく、論文を執筆し投稿する。その他は当初の計画通りに研究を遂行する。
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Research Products
(7 results)