2014 Fiscal Year Annual Research Report
イソチオシアネート類の分子標的の同定と作用分子機構の解明
Project/Area Number |
13J00046
|
Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
安部 奈緒美 岡山大学, 環境生命科学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | isothiocyanate / 大腸がん / p53 / NF-kappaB / 食品 / がん予防 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度の研究により、食品成分benzyl isothiocyanate (BITC) は転写因子NF-kappaB経路の活性化を介して細胞増殖を抑制することをヒト大腸がん細胞HT-29を用いて明らかにした。そこで今年度の研究では、他の大腸がん細胞においても同様にBITCがNF-kappaB経路を活性化させるかどうかを調査した。 まず、HT-29と同様に大腸がんの研究に汎用されているHCT-116を使用したところ、BITCはNF-kappaB経路の活性化の指標であるNF-kappaBの核内移行を抑制し、HT-29とは逆の結果を示した。HT-29は機能欠損変異型の腫瘍抑制因子p53を、HCT-116は野生型のp53を有していることから、p53がBITCによるNF-kappaBの核内移行を抑制している可能性がある。その予想通り、HCT-116のp53ノックアウト変異株において、BITCはNF-kappaBの核内移行を増強させた。BITCによるNF-kappaBの核内移行増強作用に対するp53の抑制的な効果は、その他のヒト大腸がん細胞 (LoVo、SW480、DLD-1) においても同様にみられることが確認された。さらに、低濃度のBITCはNF-kappaB経路依存的に細胞増殖を抑制し、高濃度のBITCはNF-kappaB経路非依存的にアポトーシス細胞死を誘導することを発見した。これらの結果から、BITCはその濃度域により異なる経路を介してがん予防効果を発揮するという新しいモデルが提案された。今回の成果は、大腸がん細胞の増殖制御の新しい戦略を提案するもので、大腸がん治療や予防に有効な薬剤の開発だけでなく、食品成分のもつ機能性/安全性への理解に貢献することが期待される。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
食品成分BITCによる大腸がん特異的な細胞増殖阻害機構を解明し、論文として発表できた。
|
Strategy for Future Research Activity |
現在、研究は順調に進行していることから、このまま研究を推進する。
|
Remarks |
プレスリリース (1) 中村宜督、安部奈緒美(他). 岡山大学プレスリリース, release_id256 (2014). (2) Abe, N., Hou, D.-X., Munemasa, S., Murata, Y., Nakamura, Y. Okayama Univ. e-Bulletin, 10, Research Highlights 003.
|
Research Products
(6 results)