2014 Fiscal Year Annual Research Report
高圧変成岩中の流体包有物を用いた天然の深部流体の解読
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13J00057
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
吉田 健太 京都大学, 理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 流体包有物 / 高圧変成岩 / エクロジャイト / 三波川変成帯 / SPring-8 / X線トモグラフィ / マイクロサーモメトリー / ラマン分光 |
Outline of Annual Research Achievements |
2014年度は2カ年の研究のまとめとして,三波川変成帯に産する高圧変成岩と石英脈を用いての,流体包有物から得られた深部流体の化学組成の情報を論文としてまとめ,Lithos誌にて公表した(Yoshida et al., 2015).具体的には,流体包有物の母相である石英の組織や,包有物の産状様式,包有物組成について,総合的に考察を行った.その結果,沈み込み帯深部の流体(水)のLi-B-Cl相対組成は,15km程度の浅部ではLiには乏しくBに富み(B/Cl比が高い)主成分としてNa-HCO3に富む,また,30-60kmの深部ではLiとBに富み(Li/Cl比,B/Cl比がともに高い)主成分としてNa-Clに富むという特徴を持つと提唱した.この組成特性は沈み込むスラブの脱水流体に由来すると言われている有馬型温泉水の特徴(大沢ほか,2010;風早ほか,2014など)と類似しており,沈み込むスラブから地表まで流体が上昇してくる移動経路の出発点での情報を物質学的に初めて制約した成果であると言える. また,昨年度に引き続き,変成岩中の流体包有物の形態観察を放射光施設SPring-8を用いたX線トモグラフィにより行った.X線トモグラフィによる流体包有物の組成復元は,従来の加熱冷却実験とラマン分光に基づく手法(例えばBecker et al., 2010)で復元した組成と驚くべき一致を見せることを明らかにし(相対誤差にして1%未満),本手法が微少包有物に対して有効な観察手法であることを提示した.近年高分解能のX線トモグラフィを利用する機会は増えてきており,本研究で提案した新しい観察手法は微小流体包有物の研究に対して今後新たな切り口をもたらすことは間違いない.この新しい観察手法は,現在論文としてまとめ,Eur. Jour. Mineral.誌に投稿・改訂中である.
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Research Progress Status |
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(4 results)
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[Journal Article] Geochemical features and relative B-Li-Cl compositions of deep-origin fluids trapped in high-pressure metamorphic rocks2015
Author(s)
Yoshida, K., Hirajima, T., Ohsawa, S., Kobayashi, T., Mishima, T., and Sengen, Y.
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Journal Title
Lithos
Volume: 未定
Pages: 未定
DOI
Peer Reviewed / Acknowledgement Compliant
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[Presentation] Three-dimensional morphological observation of the small fluid inclusion using FIB-XCT technique.2015
Author(s)
Yoshida, K., Hirajima, T., Miyake, A., Tsuchiyama, A., Ohi, S., Nakano, T., and Uesugi, K.
Organizer
XI International Eclogite Conference
Place of Presentation
ドミニカ共和国,リオ・サン・ファン
Year and Date
2015-01-31 – 2015-02-07
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