2014 Fiscal Year Annual Research Report
電力利用効率および信頼性の高い無線通信システムに関する研究
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13J00195
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
吉沢 竜太 横浜国立大学, 工学府, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | OFDM / ピーク電力 / 電力増幅器 / 符号化変調 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,誤り訂正符号化OFDMシステムにピーク電力低減を適用することで電力増幅効率を改善し,結果として得られる受信側特性を評価することで,真に有効なピーク電力低減手法,およびシステムの設計規範を見いだすことを目的としている.本年度の主な成果は以下のとおりである.
1. トレリスシェイピング(TS),選択マッピング(SLM),およびDFT-precodingなど,無歪みなピーク電力低減手法を施したターボ符号化OFDMシステムに関して,電力増幅効率および増幅器で生じる歪みの影響まで考慮したシステムレベルでの受信側特性,およびピーク電力低減低減に必要な信号処理回路において許容可能な消費電力を計算機シミュレーションによって明らかにした.本研究で得られた知見はIEEE Systems Journal誌に投稿し,Major Revisionの判定を受けたため,修正ののち再投稿を予定している. 2. あらかじめTSおよびSLMによってピーク電力を低減したOFDM信号に対してクリッピングアンドフィルタリング(CAF)を適用することにより,CAF単体で用いる場合よりも小さい歪みでさらに良好なピーク電力低減効果および電力増幅効率の向上が得られる手法について研究をおこなった.本研究のアイデアおよび結果は,論文に取りまとめのうえIEEE VTC2015-Fallに投稿を行い,採択が決定済みである. 3. CAFを応用したピーク電力低減手法のひとつであるActive Constellation Extension(ACE)に関して,誤り訂正符号化OFDMシステムにこれを適用した場合には受信側特性の劣化が無視できず,CAFと比較した場合,ACEが必ずしも有効な手法とはよべないことを明らかにした.本研究の結果をまとめた論文は,IEEE GLOBECOM2015に現在投稿中である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ピーク電力低減によって得られる電力増幅効率の向上や,増幅器において生じる増幅歪みを加味したうえでの誤り訂正符号化OFDMシステムの受信側特性については,実装による評価までは至らなかったものの,計算機シミュレーションによる評価については計画書通り執り行い,国際論文誌への論文投稿に至っている.また,TSやSLMにCAFを組み合わせる手法,および誤り訂正符号化まで考慮したACEの受信側性能に関する研究は当初は計画されていなかったものの,一定の成果が得られたため国際会議に論文を投稿し,前者の研究については論文採択までに至っている.以上を踏まえて,おおむね順調に進展していると評価した.
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Strategy for Future Research Activity |
計画書で示したとおり,大容量かつ消費電力の小さい通信を達成可能な無線通信システムの設計規範を示すため,物理層だけでなく,MAC層・ネットワーク層まで加味したクロスレイヤでのプロトコル設計に挑戦していく.また,得られた成果はこれまでと同様,著名な国際会議および国際論文誌に発表していく予定である.
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