2014 Fiscal Year Annual Research Report
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13J00199
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
永冶 方敬 名古屋大学, 環境学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | アンチゴライト / 沈み込み帯 / 上部マントル / 蛇紋岩 / 構造地質学 / 岩石学 / 鉱物結晶方位 / 異方性 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.白髪山地域のアンチゴライト、及びかんらん石の結晶軸定向配列 白髪山岩体の野外調査から得られた蛇紋岩試料に対して薄片観察、ラマン分光分析、及びSEM-EPMA分析を行った。これらの分析結果からSEM-EBSDを用いた結晶方位測定に適した試料を選定し、かんらん石及び、アンチゴライトの結晶方位測定を実施した。加えて白髪山岩体で確認された含水鉱物であるブルーサイトの結晶方位測定も行い、方位データを得ることに成功している。現在これらの結晶方位測定結果の分析中であり、結晶方位の関係性から沈み込み帯浅部マントル構成岩の構造的制約に貢献できると期待される。 また、アンチゴライトの結晶方位測定は、測定条件によって結晶方位の解析結果に影響を与えることが危惧されているため、アンチゴライトの結晶方位測定結果の再現性を定量的に評価した。その結果、SEM-EBSDによる結晶方位測定時のMAD値がアンチゴライトの結晶軸定向配列の解析結果に影響を与えている可能性を示し、測定方法に関しての提案を行った。
2. 沈み込み帯におけるアンチゴライトの深部沈み込みの可能性 アンチゴライトの結晶軸定向配列を用いて地震波異方性観測に対するアンチゴライト分布モデリングを行った。その結果、琉球弧ではアンチゴライトを含むウェッジマントルが火山フロントの手前約30kmまで分布し、それらが前弧域で対流している可能性があることが明らかになった。また複数地域で同様のウェッジマントルの対流の可能性が示唆された。これはアンチゴライトの沈み込みから上昇までの一連のプロセスを追う上で重要な結果となることが期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
1. 当初技術の習得に時間を要すると予想していた申請者所属の研究室が所有するSEM-EBSDを用いたアンチゴライト及びブルーサイトの結晶方位測定は既に成功しており、アンチゴライトのSEM-EBSDを用いた測定方法に関する研究成果は国内シンポジウムで発表している。この研究成果に関しては現在査読付き国際誌に投稿準備中である。
2. 白髪山地域から得られた岩石試料に対しては、既に薄片試料作成、ラマン分光分析、SEM-EPMAによる分析を実施、SEM-EBSDによる結晶方位マッピングを実施しており、アンチゴライト、かんらん石及びブルーサイトの結晶軸定向配列の測定は大方終えている。またこれらの分析結果及びその重要性に関して3年度目に公表予定である。
3. 地震波異方性観測を用いた沈み込み帯におけるアンチゴライトの分布予想に関する研究は、既にAtg CPOを取り込んだ地震波異方性理論数値計算用プログラムコードの作成から理論数値解析、地震波異方性観測結果を説明可能な分布モデルの構築まで終えており、筆頭著者として国内外の学会及びシンポジウムで発表している。また、現在査読付き国際誌「Nature Geoscience」にて査読中である。
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Strategy for Future Research Activity |
1.白髪山岩体から得られたアンチゴライト及びかんらん石の結晶方位測定結果の解析結果からかんらん石の結晶方位定向配列の形成メカニズムに関して推定を行う。また、その結果から推察される沈み込み帯浅部マントルにおける岩石構造と、その普遍性に関して検討する。ただし、白髪山地域では、ブルーサイトの存在が確認されており、かんらん石はアンチゴライトとブルーサイトの分解から形成していることが明らかになっている。ブルーサイトの結晶方位に関しては既にSEM-EBSDによる測定が実施されているため、これらの微細観察及び結晶方位データも踏まえ、かんらん石の結晶方位定向配列の形成におけるブルーサイトの関連も考慮する。 2.白髪山及び別紙地域で得られた蛇紋岩中のアンチゴライトの結晶軸定向配列の測定結果と、それらの粒子の結晶形状選択配向との関係を解析することで、四国三波川帯におけるアンチゴライトの変形メカニズムを推定する。 3.3年度目は本研究計画の最終年度となるため、これら次年度実施することで明らかになることが期待される研究成果及びこれまでに得られた研究成果から沈み込み帯ウェッジマントルにおける蛇紋岩体の分布推定と、その分布域での岩石の構造と構成鉱物の結晶軸定向配列の形成メカニズムの推定を行う。 4.これらの1~3の研究成果に関する国内外の学会での発表及び国際誌への投稿を行う。また、現在投稿準備中及び査読中となっている研究成果を雑誌論文としてまとめる。
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Research Products
(16 results)
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[Presentation] 炭質物の石墨化における被熱時間スケールの制約2014
Author(s)
森宏, 森なつみ, Wallis Simon, Annen Catherine, Westaway Rob, Caricchi Luca, 纐纈佑衣, 永冶方敬
Organizer
日本地質学会 121 年学術大会
Place of Presentation
鹿児島, 鹿児島大学
Year and Date
2014-09-13 – 2014-09-15
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