2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13J00241
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
関澤 一之 筑波大学, 大学院数理物質科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 多核子移行反応 / 準核分裂過程 / 低エネルギー重イオン反応 / 時間依存平均場理論(TDHF) / 時間依存密度汎関数理論(TDDFT) / 粒子数射影法 / 不安定核 / 元素合成 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、多核子移行反応は、これまでに生成されていない不安定核を生成する方法として注目を集めている。特に、中性子過剰な不安定核を実験的に生成し、その性質を調べることは、自然界に存在している元素の起源を理解する上で重要となる。加えて、多核子移行反応は、核子多体系に発現する非平衡量子輸送過程と捉えることもでき、その反応ダイナミクスは基礎物理学的にも興味が持たれる。我々は、「1. 多核子移行反応の微視的反応機構を理解すること」、及び、「2. 目的の不安定核を生成する最適な反応を予言すること」を目的とし、低エネルギー原子核反応を微視的に記述することが可能である時間依存平均場理論(TDHF法)を用いた研究を行った。 我々は、TDHF法に近年提案された粒子数射影法を適用することにより、TDHF法によって多核子移行反応を微視的かつ定量的に記述できるということを明らかにした。さらに我々は、粒子数射影法を拡張することにより、反応後に生成された原子核の励起エネルギーを評価する方法を考案した。そしてその方法により得られた励起エネルギーを基にして、核子蒸発(核子放出による脱励起)の統計模型を用いた解析を行うことにより、核子蒸発の効果を取り入れた断面積を評価する枠組みを確立させた。この方法により、反応断面積の計算値が実験値に近づく方向に修正を受けることを確認した。 さらに我々は、より重い原子核同士の衝突時に見られる、準核分裂過程が引き起こす多核子移行反応についての解析も行った。我々は、大きくラグビーボール型に変形したウラン原子核を含むいくつかの反応において、変形したウラン原子核の衝突時の向きが、反応ダイナミクスに大きな影響を与えるということを明らかにした。特に、ウラン原子核が長軸方向から衝突した場合、太く長い“くびれ”構造が形成され、多数の核子の移行を引き起こすことを見出だした。
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Research Progress Status |
本研究課題は平成26年度が最終年度のため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題は平成26年度が最終年度のため、記入しない。
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Research Products
(11 results)