2013 Fiscal Year Annual Research Report
磁気異方性軸の制御を目指した新規ヘテロスピン系ナノ磁性体の構築研究
Project/Area Number |
13J00247
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
村島 健介 九州大学, 大学院薬学研究院, 特別研究員(DC1)
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Keywords | アミノキシル / 一次元鎖錯体 / 銅 / 希土類錯体 / 単分子磁石 / 光応答性 / カルベン / ヘテロスピン |
Research Abstract |
単分子磁石や単一次元鎖磁石といった「ナノ磁石」の構築において、一軸性磁気異方性(D)と同様に極めて重要なパラメータのひとつである交換相互作用定数(J)の制御を目指した研究を行った。二つのピリジル基を持つ架橋型アミノキシルNOpy_2を有機スピン源とし、またDをほとんど持たないβ-ジケトナト型二価銅錯体Cu(L)_2 (L=tfac ; trifluoroacetylacetone, hfac ; hexafluoroacetylacetone, or dfhd ; decafiuoroheptanedione)を金属スピン源としたヘテロスピン錯体の構築に成功した。単結晶X線構造解析を行った結果、Cu (L)_2のtrans方向にNOpy_2のピリジン窒素が二つそれぞれ配位子し、オクタヘドラル構造を連結した一次元鎖構造をとっていることが分かった。Cu-N_<Nopy2>の結合長r(Å)はtfac, hfac, dfhdの順に2.40>2.14>2.02となっておりβ-ジケトナト型配位子Lの持つ電子吸引性フッ素置換基の数との相関がみられた。そこでSUID磁束計を用いた直流磁化率の温度依存性測定を行い、Heisenberg一次元鎖モデルを適用してフィッティングをすることで3d-2p間交換相互作用定数(J)を算出した。J(K)はtfac, hfac, dfhdの順に5.7<32<55という結果が得られCu-N_<NOpy2>の結合長r(Å)に依存することが明らかとなった。この結果は反磁性配位子であるLの修飾によってヘテロスピン分子磁性体の構築に極めて重要なJを簡便に制御できたことを意味している。 また一方で光照射により三重項カルベンを発生させるジアゾ基を用いることで光応答型4f-2pヘテロスピン錯体の構築を目指した。ランタノイド錯体は非常に大きな磁気異方性をもち、さらに高いスピン状態(最大でS=7/2)をとることが可能であるため近年分子磁性体の構成素子として非常に高い関心を集めている。β-ジケトナト型Dy^<III>錯体とジアゾ基を持つピリジンNオキシド配位子を組み合わせた場合にDy^<III>二核錯体(diazo : Dy^<III>=2:2)が得られたことを単結晶X線構造解析によって明らかとした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
分子磁性体の構築において極めて重要なパラメータの一つであるスピン間交換相互作用を簡便な方法によって制御することができたことは非常に大きな成果であるといえる。 一軸性磁気異方性の制御に関しても新規4f-2pヘテロスピン錯体を用いた系統的評価によって広く行うことが今後見込まれる。
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Strategy for Future Research Activity |
2p-4fヘテロスピン系を用いた光応答型分子磁性体の構築研究を進めていくこととする。ジアゾ華を持つビリジンNオキシドを配位子として用いることでLn^<III>二核錯体(diazo : Ln^<III>=. 2:2)の構築を行っていき、光照射前後での磁気挙動変化について詳細を解明する。また結晶構造に基づく一軸性磁気異方性の大きさ及びその方向が、錯体の示す磁気緩和現象及び発光特性にどのような影響を及ぼすのかを明らかにしていくための系統的実験も展開する。
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Research Products
(4 results)