2014 Fiscal Year Annual Research Report
アリューシャン列島周辺海域における物理-動物プランクトンモデルの開発
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13J00271
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
齋藤 類 東京大学, 大気海洋研究所, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 中規模高気圧性渦 / 水理環境 / アリューシャン列島 / アラスカンストリーム / 西部亜寒帯循環 / 低次生態系 / 数値計算 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は①アリューシ渦の水理環境の比較とそれらの時間変化、②渦の海表面における一次生産への影響の評価と③物理―低次生態系モデルの開発を行った。 ①外洋域の西部亜寒帯循環 (WSG) 域 (東経172度以西) に存在した渦 とアラスカンストリーム (AS) 域 (東経172度以東)に存在した渦を比較すると、水深100 m 付近の中冷水の最低水温は東経172度以西の渦(水温2.8ー2.9度)で東経172度以東(~3.2度)よりも低かった。1/10度の渦解像データ同化モデルの再解析値を用いた粒子追跡実験により、東経172度以西の渦では周辺の冷水の取り込みにより、春季加熱期においても中冷水の冷却が続くと示唆された。暖かいAS域に存在した渦の中冷水は晩冬のAS起源であることが示唆された。中冷水は渦間で変動があったが、水深200-500 m の中暖水には類似した特徴があった。上記の結果は国内学会1件と国際学会2件で発表を行い、投稿論文にまとめた。 ②春季ブルーム期から夏季(5~7月)の月毎の海面高度偏差 (SLA) で大きな変動 (8~16 cm) が観察された列島南岸から西部亜寒帯循環 (WSG) の広い範囲(にて、クロロフィル (CHL) と一次生産量 (NPP) に大きな変動を示した。SLAに変動があった範囲では、SLAとCHL及びNPP偏差に正相関があった。渦がブルーム期にWSGに存在すると、一次生産が上昇する可能性が示唆された。東経172度以西を伝播した渦ではブルーム期に渦内で渦外よりもNPPが高かっため、渦がWSGの一次生産の上昇に寄与していると示唆された。上記の結果は国内学会1件で発表を行った。これらの結果については今後、国際誌に投稿する予定である。 ③アリューシャン渦の低次生態系への評価をNPDZモデル再解析値の解析と物理と低次生態系モデルの開発を開始した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は現場観測データと表面クロロフィル及び一次生産量データの解析に時間を要したため、物理―低次生態系モデルの開発がやや遅れ気味となった。本年度に行った解析結果については学会で発表を行い、一部は投稿論文にまとめることができ、共著者とのやり取りにより、研究内容が大幅に改善された。研究はやや遅れ気味であるが、着実に進んでいると思ている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は表面の観測データとモデル再解析値の解析と物理―低次生態系モデルの開発を進め、アリューシャン渦の海洋低次生態系への評価を行う。 これら解析結果がまとまり次第、投稿論文にまとめ、速やかに国際学術誌に投稿する。
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Research Products
(7 results)