2013 Fiscal Year Annual Research Report
ユーラシアステップ植生の体系化と種分布モデルによる群落の将来分布予測
Project/Area Number |
13J00343
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
鈴木 康平 筑波大学, 大学院生命環境科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | ユーラシアステップ / 植生学 / 植物社会学 / 将来分布予測 |
Research Abstract |
中国北東部からハンガリーにかけて広大に広がるユーラシアステップ(以下ステップ)では, 近年, 過放牧や耕作, 地下資源開発などの人為圧の増大により, 急速に草原退行が進行している. このステップの持続的管理を目指し, 自然性の高い植生の種組成データを用いて, 群落ベースでの植生の体系化を行うこと, 各群落の将来分布予測を行うことを目的として研究を開始した. モンゴル中部とステップ中央部に位置するロシア・ハカス共和国で現地植生調査を行った. これまで取得してきた植生調査資料と本年度新たに取得した植生調査資料, さらには既存研究の植生調査資料を用いて, 植物社会学的方法による群落区分を行った. 区分された群落の分布を規定する降水量や気温といった環境要因を明らかにするために, 多変量回帰木と一般化加法モデルを用いて解析を行った. 解析結果を用いて, 各群落の将来分布予測を行った. ステップ各地の自然性の高い植生が種組成に基づいて体系的にまとめられ, 地域ごとの種組成の特徴が明らかになった. 今後, 本体系が, 現地の草原管理者や他研究者による草原状態の判断等に利用されることが期待される. また, 区分された群落の分布規定要因の解明とその結果を用いた各群落の将来分布予測を行ったことにより, 各群落の現在および将来の分布を空間的に把握できるようになった. 今後, 脆弱な生態系になりうる地域はどこか等の, 将来的なリスクを考慮しての持続的管理方法の構築に利用されることが期待される.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
植生調査資料が不足しているモンゴル中部と, ステップ中央部に位置するロシア・ハカス共和国において, 現地植生調査を行い, 植生調査資料の取得ができたため. また, 本年度とこれまで取得してきた植生調査資料, 既存研究を統合し, ステップにおける植生の体系化と将来分布予測が行えたため.
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Strategy for Future Research Activity |
植生調査資料をさらに蓄積し, これまでの結果と統合することにより, 群落区分および区分された群落の将来分布予測の精度を高める. また, 種ごとの将来分布予測を進めることにより, 各群落の将来的な種組成変化の可能性を検証する.
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Research Products
(2 results)