2013 Fiscal Year Annual Research Report
銅イオン吸着酸化亜鉛光触媒によるCO光PROX反応
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13J00489
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
吉田 祐介 千葉大学, 大学院理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 酸化亜鉛 / 光触媒 / 赤外分光 / ナノ構造 / X線分光 |
Research Abstract |
水素中の微量COの選択酸化をZnO光触媒を用いて行った。触媒活性の高い(0001)面を選択的に露出したディスク型ZnOを合成し、既存の紡錘型ZnOとロッド型ZnOと活性を比較した。合成したディスク型ZnOは75㎡/gの比表面積を有する微小な平板型粒子であった。その反応活性は、紡錘型(比表面積35㎡/g)の1.1倍、ロッド型(比表面積20㎡/g)の11.7倍と最も高い活性を示したが、比表面積あたりでは紡錘型の0.5倍、ロッド型の3.1倍であり紡錘型が最も高い。 CuイオンをZnOに吸着させ、活性を向上させた結果、ディスク型、紡錘型、ロッド型で活性が、2.1倍、3.3倍、6.7倍に向上した。Cu-紡錘型で最も活性が高く、Cuイオンの効果はロッド型で最も高い。 X線分光法により反応中のCuイオンへの電子移動を追跡した結果、Cuへの電子移動速度は、ディスク型と紡錘型では有意な差はなかったが、ロッド型では、他の0.4倍であった。ロッド型ではCuへの電子到達がしにくく、十分粒径の小さいディスク型、紡錘型ではCuに電子が到達しやすいことが分かった。 以上から、光触媒では酸化サイトと還元サイトが必要となるため、ディスク型のように単一のサイトを選択的に露出させても活性は向上せず、紡錘形のような不飽和な複数種のサイトを持つ構造がより有利であると示唆される。ロッド型では反応サイトと電荷分離の点で不利であり活性が著しく低い分、Cuイオンによる電荷分離の効果が一番高い。紡錘型之ディスク型でCuの効果に差が出たのは、紡錘型では、酸化サイトと還元サイトが近接するために再結合性が高く、Cuによる電荷分離が効果的なのだと推察される。 赤外分光によりZnO表面へのCO吸着による反応中間種を追跡した結果、ユニデンテートとバイデンテートの2種類の表面ギ酸種が各酸化亜鉛表面で形成されることが分かった。ディスク型、ロッド型ではユニデンテートが形成されやすかったが、紡錘形ではより安定なバイデンテートが形成され、また、ユニデンテートがより不安定で脱離しやすかった。不飽和なサイトを持つ紡錘型では、ユニデンテート種がより反応しやすい環境にある可能性が推察される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
目的にあるディスク型酸化亜鉛によるCO光PROX反応に関しては、計画通りに進行し論文化を進めている。酸化亜鉛光触媒による有機物の選択酸化反応については、進展が進んでおらず、代わりに今後やる予定であったMOFを利用した光触媒開発が先に進行している状態であるため、"②おおむね順調に進展している"の評価にした。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はこれまでに得られたディスク型酸化亜鉛の結果をまとめて論文にして投稿する。それが出来次第、MOFを使用したPROX触媒開発の研究を進めていくが、現在、光触媒活性ではなく、通常の熱反応での触媒反応で高いかっせを持ったものが合成出来ているので、まずは、その内容で論文化した後に、それまでの知見を利用して光PROX反応ではないCO_2の光還元反応などに高活性なMOF光触媒が開発できないかを進めていく。
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Research Products
(5 results)