2013 Fiscal Year Annual Research Report
野生ボノボとチンパンジーにおけるパーティ構成の違いの要因の解明
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13J00535
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
徳山 奈帆子 京都大学, 霊長類研究所, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ボノボ / 意思決定 / 攻撃交渉 / 離合集散 |
Research Abstract |
ボノボとチンパンジーは両種とも、集団がいくつかのパーティ(一時的な部分集団)に分かれて遊動するという、離合集散と呼ばれるグルーピングパターンを示すが、そのパーティ構造は大きく異なっている。チンパンジーのパーティは主にオスと乳児を持たないメスで構成され、乳児を連れたメスはパーティから離れて遊動を行うことが多い。対して、ボノボは乳児をもつメス達を中心とするパーティで遊動を行う。チンパンジーの乳児持ちのメスがパーティに参加しない理由として、1. オスからの攻撃や子殺しを避けるため、2. 子供を背負い移動が不自由であるためにパーティの遊動についていきにくく、多くの休息、採食時間を必要とするため、という要因が考えられている。対してボノボでは、1. メスやコドモが攻撃を受けにくく、2. メスが集団の動きをリードし、パーティの動きや活動時間を調節しているため、アカンボウ持ちのメスがパーティに参加しやすいと考えられている。しかし、これらの仮説は量的データによって検証されていない。コンゴ民主共和国において、野生ボノボを対象に調査を行った。 1. 攻撃交渉 : オスメス間の攻撃交渉では、ほぼメスが勝者となった。メスが劣勢となった場合、他のメスが介入して支援することで、メスが勝者となることが多く観察され、メス間の同盟関係がボノボにおけるメスの社会的地位の高さに影響することが示唆された。また、年上の個体が年下の個体を支援する傾向があり、年下の個体が年上の個体を支援することは少なかった。 2. 集団の動きの意志決定 : 2頭以上の個体が移動した際、移動を開始した個体を「先導個体」と定義した。高齢のメスが先導個体となることが多く、ある場所から次の採食・休息場所へ移動するタイミングは、高齢のメスが決定している傾向にあることがわかった。ボノボではメスが集団の動きをリードし、休息時間や採食時間の長さを調節していると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2013年度は、コンゴ民主共和国において野生ボノボの攻撃交渉や集団移動についてデータ収集を行い、期待以上のデータを集めることができた。長期間のフィールド調査であったため、学会等成果の発表は少なかった。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度も、コンゴ民主共和国において、野生ボノボの攻撃交渉や集団移動についてのデータ収集、データ分析を行い、成果を学会にて発表する。
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Research Products
(1 results)