2014 Fiscal Year Annual Research Report
野生ボノボとチンパンジーにおけるパーティ構成の違いの要因の解明
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13J00535
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
徳山 奈帆子 京都大学, 霊長類研究所, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ボノボ / 離合集散 / 攻撃 / 意思決定 |
Outline of Annual Research Achievements |
2014年度は主に、野外調査を行った。2014年6月から9月まで、コンゴ民主共和国ルオー科学保護区において野生ボノボの観察を行った。12月まで観察を行う予定だったが、調査地の近隣でエボラ出血熱が発生したため、9月に帰国を余儀なくされた。エボラ出血熱のコンゴ民主共和国内での収束確認後の一月に再渡航し、2015年7月初めまでの予定で野外調査を続けている。観察中は、パーティ追跡を行い、パーティ内の攻撃交渉の頻度とその詳細、遊動開始の意志決定、遊動中の動きの意志決定のデータを収集した。攻撃交渉については特に、2頭以上が協力して攻撃する「同盟」関係に注目して観察した。遊動開始の意思決定については、停止状態から移動を開始する際、どの個体が最初に動きだし、集団の遊動開始のイニシエーションを取っているか記録した。遊動中は、先頭をあるいている個体を記録し、どの個体が遊動のスピードのコントロールをしているかに注目した。平行して、対象群の個体間の血縁関係を推定するため、追跡中、ボノボの排便、排尿を観察した場合は、フン、尿からDNAサンプルを採集した。 データ収集に集中したことや、エボラ出血熱により年間計画に狂いが生じたことで、学会発表はすくなかった。11月に、「SAGA17アジアアフリカに生きる大型類人猿を支援する集い」にて、ボノボの攻撃交渉における支援関係について発表をおこなった。また、2015年7月に行われる「Vth International wildlife management congress」において、ボノボの集団移動の意志決定についての発表をすることが決定している。 アウトリーチ活動としては、11月に、日本モンキーセンターにて野生ボノボの攻撃交渉について、一般向けの講演を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本来の計画では、コンゴ民主共和国での野生ボノボの観察は2014年12月に終え、その後はデータ分析と論文執筆に集中する予定であった。しかし、調査地近隣でのエボラ出血熱の発生により、調査期間の途中での帰国を余儀なくされた。このことにより、2014年度中にデータ収集を終えることができなかった。コンゴ民主共和国内でのエボラ出血熱の終結を待ち、2015年1月から7月までの予定で再渡航し、データの収集を再開した。予定はやや遅れているものの、データの収集は順調であり、予備分析でも興味深い結果がでてきている。2015年7月までのデータ収集で、論文作成のためのデータは揃う予定であるし、学位習得のために必要な国際学会での発表についても、2015年7月の国際野生動物管理学会で発表を行うことが決まっている。
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Strategy for Future Research Activity |
27年7月初旬まで(27年1月より継続)、コンゴ民主共和国ルオー保護区ワンバにおいてフィールドワークを行い、野生ボノボの観察を行う。観察中は、パーティ追跡を行い、パーティ内の攻撃交渉の頻度とその詳細、遊動開始の意志決定、遊動中の動きの意志決定のデータを収集する。攻撃交渉については特に、2頭以上が協力して攻撃する「同盟」関係に注目して観察する。遊動開始の意思決定については、停止状態から移動を開始する際、どの個体が最初に動きだし、集団の遊動開始のイニシエーションを取っているか記録する。遊動中は、先頭をあるいている個体を記録し、どの個体が遊動のスピードのコントロールをしているかに注目する。平行して、対象群の個体間の血縁関係を推定するため、追跡中、ボノボの排便、排尿を観察した場合は、フン、尿からDNAサンプルを採集する。 帰国後は、得られたデータを分析する。集団の遊動開始の意思決定についての結果をまとめ、7月末に札幌で行われる国際哺乳類管理学会で発表を行う。集団内の攻撃交渉についての結果を、8月にオーストラリアで行われる、国際動物行動学会で発表する。また、これらの結果すべてについて考察を行い、博士論文としてまとめる。
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