2013 Fiscal Year Annual Research Report
大気圧プラズマを援用した次世代ワイドギャップ半導体基板の高品位加工プロセスの開発
Project/Area Number |
13J00581
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
トウ 輝 大阪大学, 大学院工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 単結晶SiC / 水蒸気プラズマ / 砥粒研磨 / 最適化 / 高能 / 酸化 / 平滑化 / ステップ/テラス構造 |
Research Abstract |
1、プラズマ援用研磨(PAP)の加工能率や表面仕上げ能力等の研磨特性を最適化するために、PAPプロセスにおける単結晶Sicの平滑化メカニズムの解明を行った。水蒸気を含む大気圧プラズマを照射して形成した酸化膜を角度分解X線光電子分光で測定した結果、SiO_2のみならず、SiO_2とSiCの界面にSilicon Oxycarbide (Si-C-O)の存在が確認された。ダイヤモンド砥粒研磨後の表面に対して、プラズマ酸化とフッ酸浸漬を繰り返すことで、スクラッチフリーな表面を得た。しかしながら、酸化膜界面のSi-C-0層が残留し、結晶学的に完全な表面は得られなかった。PAPの場合には、酸化層とsi-C-O層の両方が軟質なセリア砥粒研磨により完全に除去され、ステップ/テラス構造が見られる原子オーダで完全な平滑面が得られ、複合研磨の優位性を示すとともに工業的にも極めて有用であることを示した。 2、水蒸気プラズマ照射による単結晶SiCの酸化レートを上げるために、水蒸気プラズマ酸化プロセスの最適化を行った。ヘリウムガスの水分圧を0ppから4000ppmまで上げたに伴った、Heの発光強度は下げて行くことに対して、OHの発光強度は200ppmの水分圧で一番大きな値が見られた。即ち、水分圧が200ppmの場合には、OHの発光強度は一番強いと考えられる。200ppmの水分圧でOHの発光強度のピークが見られる原因について、以下のように推測している。200ppm以下の範囲では、水分圧の増加に伴い、電子衝突により水分子の解離が促進され、OHの発光強度が強くなった。一方、水分圧は200ppm以上の場合には、過量な水蒸気の存在のため、電子温度の低減及びOHラジカルのクエンチングが行い、OHの発光強度は下げる傾向が見られた。水分圧の200ppmのプラズマと水分圧の4000ppmのプラズマを10分間SiCの表面に照射して、表面組成をXPSで測定した。200ppmの水分圧の場合には、形成した酸化膜はもっと深かったことが分かった。以上の結果より、プラズマ酸化における水分圧の最適化を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度において、プラズマ援用研磨法を単結晶SiCに適用した結果、ダメージフリーかつ原子レベルで平滑なSi面を得ることに成功した。そして、プラズマ援用研磨法のプラズマ酸化過程及び砥粒研磨過程の最適化を行い、単結晶SiCの平滑化メカニズムがはっきり解明できた。さらに、単結晶SiCに対する酸化作用と研磨作用のバランスでSiCの結晶構造を反映するステップ/テラス構造の制御メカニズムを提案して、実験で提案したメカニズムの証明を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
1、単結晶SiCの加工能率をさらに向上するために、水蒸気プラズマ酸化以外の酸化手段、例えば熱酸化及び陽極酸化の適用を行う。単結晶SiCに対して、熱酸化と水蒸気プラズマ酸化と陽極酸化の酸化レート、酸化膜の界面酸化モーフォロジー、酸化膜の硬度などの酸化特性を比較し、最適な酸化手段を探索する。 2、次世代のワイドギャップ半導体材料として、単結晶SiCのみならず単結晶GaNも注目されている。これから、単結晶GaNの表面改質における最適なプラズマ反応ガスの探索及びプラズマ援用研磨法の適用を行う。プラズマ援用研磨法を用いて加工したGaNの表面の結晶性と粗さを評価し、ダメージフリーに0.1nm以下の表面粗さを達成する加工システムの構築と加工条件の最適化を図る。
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Research Products
(11 results)