2013 Fiscal Year Annual Research Report
円口類ヤツメウナギの神経進化発生学的研究による脊椎動物中脳の進化的起源の解明
Project/Area Number |
13J00621
|
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
鈴木 大地 筑波大学, 大学院生命環境科学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | ヤツメウナギ / 中脳 / 進化 / 神経発生 |
Research Abstract |
目的 : 本研究は、脊椎動物の中脳の進化的起源を、進化発生学的なアプローチによって解明することを目的としている。まず、祖先的な形質を保存している可能性のあるヤツメウナギの脳発生について、神経構造や分子的な発生メカニズムを解析する。そこで得られた結果を、他の脊椎動物や原索動物と比較することによって、中脳を獲得した発生要因を見つけ出そうとするものである。以上の目的に従って、本年度は以下のような実験を行い、研究を遂行した。 ①神経構造の解析 : ヤツメウナギ幼生の神経細胞に蛍光デキストランを顕微注入することにより、中脳視蓋の神経細胞の軸索をラベリングした。また、視神経と内側縦束を、それぞれ異なる蛍光色を呈するデキストランを注入することにより、二重ラベリング実験も行った。その結果、中脳視蓋の神経細胞が未分化な状態に留まっていることがわかった。さらに、この二重ラベリング実験系を確立したことは、次年度以降の神経構造の解析にも応用できると期待できる。 ②パターニング分子の機能阻害 : 脊椎動物の中脳の形成には、オーガナイザーである中脳後脳境界(MHB)からのFgf8の分泌が必要であることが分かっている。そこでSU5402によってFgf8の機能阻害を行い、中脳発生への影響を調べた。その結果、中脳発生に重要なEnの発現レベルの大幅な低下が確認でき、また後交連繊維や内側縦束核といった神経要素がFgf8による中脳形成とは独立であることがわかった。研究実施計画計画との比較 : 申請書に記載した年次計画では、本年度では神経構造の解析と通常胚での発現解析を行い、また次年度にパターニング機能阻害を行う計画になっている。現在までの遂行状況を比較すると、本年度の計画は概ね完了し、次年度の計画の一部は既に遂行できている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の計画は概ね完了し、次年度の計画の一部は既に遂行できている。また研究の進行によって、申請書には記載した以上の、化展的な解析への展望も得られている。
|
Strategy for Future Research Activity |
・1細胞レベルでのラベリングや電気生理学的な解析 ・二重ラベリングの技術はを用いた、神経構造の詳細な解析 ・SU5402によって得られた胚の、Pax2/5/8の化現解析や、神経ラベリングによる神経回路への影響の詳細な解析 ・Eph/ephrin薬剤阻害による、視神経投射への影響の解析
|
Research Products
(2 results)