2013 Fiscal Year Annual Research Report
ポーリネラ・クロマトフォラの珪酸沈着と被殻構築に関わるタンパク質の同定と進化
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13J00631
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
野村 真未 筑波大学, 大学院生命環境科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 被殻形成 / 原生生物 / シリカバイオミネラリゼーション / 進化 / 質量分析 |
Research Abstract |
【研究の目的】ポーリネラ・クロマトフォラにおいて(1)珪酸の取り込みに関わるシリカトランスポーター遺伝子と、珪酸沈着に関わるタンパク質を同定すること、(2)セメント様接着物質を同定し、その動態を明らかにすることで、殻構築過程の一端を解明することを目的とした。 【珪酸取り込みに関するタンパク質の同定】ポーリネラにおけるトランスクリプトームデータから珪藻のSit、イネ科植物のlsi、および海綿動物のnbcsaの各シリカトランスポーター遺伝子と相同性のある配列をピックアップした結果、珪藻のsitに相同な配列の取得に成功した。珪藻のsitと相同性を示した配列において、SOSUIやTMHMMのプログラムを用いて膜貫通領域を予測した。先行研究により、珪藻は10回の膜貫通領域を持っていることが知られている。しかし、今回ポーリネラのシリカトランスポーターと予測された配列は珪藻の半分である5回の膜貫通領域が予測された。このことから、ポーリネラのシリカトランスポーターは2量体を形成して機能している可能性が示唆された。 【珪酸被殻関連タンパク質の同定】細胞を湿重量で1g用意し、フレンチプレスで破砕し、複数回の低速遠心により珪酸質鱗片を回収した。こうして集めた鱗片を高濃度EDTA、NaCl、尿素、SDS、フッ化水素酸による段階的な処理によりタンパク質抽出を行った。この結果、特異的バンドが得られたため、これらのバンドを切り出して質量分析を行った。この結果同定できたタンパク質のアミノ酸配列の完全長を決定するため、5',3'Raceを行った。この新規タンパク質は既知のタンパク質のいずれとも相同性を示さなかった。このタンパク質に関して局在・機能解析を行うため、大腸菌によるタンパク質大量発現系を用いてポリクローナル抗体の作成を試みているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
25年度は、珪酸の取り込みに関わるシリカトランスポーター遺伝子の探索、珪酸被殻関連タンパク質の同定に精力的に取り組み、それぞれ成功したのでおおむね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
25年度の成果として、複数の珪酸質鱗片関連タンパク質の同定することができた。また、すでにそれぞれのタンパク質の局在・機能解析のため、抗体作成に取り組み始めている。26年度中に設定した目的を達成できる見込みがあり、研究計画の変更は必要ないと考えている。
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Research Products
(6 results)