2013 Fiscal Year Annual Research Report
高性能窒化物蛍光体の新規合成方法の開発とLEDへの応用
Project/Area Number |
13J00656
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
金 孝盛 大阪大学, 大学院工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 窒化物蛍光体 / 希土類蛍光体 / 炭素還元窒化法 / 金水素化物 / 直接窒化法 / 白色LED / バックライト光源 / 固体照明 |
Research Abstract |
①高輝度窒化物系蛍光体の効率的合成方法の開発、 窒化物系蛍光体材料であるCaAISiN_3 : Eu^<2+>、M_2Si_5N_8 : Eu^<2+>(M=Ca, Sr, Ba)について、CaCN_2を還元用炭素源およびアルカリ土類源として用いたCRN(炭素還元窒化法)、金属または合金原料を水素化した改良型直接窒化法を主として適用し、従来法と根本的に合成条件が異なる常圧でその合成を行った。その結果、CaCN2とCaCO_3とCa源とし、これに所定量のAIN、Si, N_4およびEu_2O_3,を加えて、N_2ガス中、常圧下での条件で高品位のCaAlSiN_3 : Eu^<2+>が得られ、Ca_3N_2(潮解性があり高価)をCa源とする従来法と比べて、より低コストで合成できることが明らかになった。さらに、これとは別の方法として、金属または合金を一旦水素で微粉化した水素化物を中間原料とする合成法適用し、より鮮やかな赤色を発する(Sr, Ca) AlSiN_3 : Eu^<2+>蛍光体が、同様に常圧の条件下、N_2ガス中で加熱するだけで得られた。この場合も、数千気圧の高圧下で合成される市販品と同程度の品位を有することが分かった。 ②得られた窒化物系蛍光体の詳細なキャラクタリゼーション 上記の蛍光体について、窒素/酸素分析、炭素分析、EDX等による組成分析、および粉末XRDによる構造の同定、および蛍光分光光度計による蛍光波長と強度、蛍光強度の温度依存性、蛍光寿命等の測定をもとに、既存の合成方法で作製した蛍光体と対比した。その結果、発光強度等は幾分低いものの、今後合成条件を最適化することで、性能面で遜色のない蛍光体として合成できることが明らかになった。 ③得られた蛍光体粉末の混練物の農業用ビニールハウスシート等としての可能性評価 上述のとおり、CaA. SiN_3 : Eu^<2+>を主として使用することで、太陽光中の赤色より波長の短い同色の光に変換することが可能となる。これを踏まえて、次年度の研究に向けて今年度得られた蛍光体粉末を高分子ポリマー中に分散する手法等について検討を加えた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
CaAlSiN_3 : Eu^<2+>およびこれにSrを一部置換して発光色調を最適化した(Sr, Ca) AlSiN_3 : Eu^<2+>が現在LED固体照明用蛍光体として実用化されているが、後者のSrを含有した蛍光体は特に、現行の方法では数千気圧のN_2条件下でなければ高品位な状態で得られていない。しかし、今回の研究で、原料となる合金を水素化することで、「常圧条件下」でも高輝度で十分な品位を有するものとして合成できることが明らかになった。
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Strategy for Future Research Activity |
現在までの達成度の項でも述べたとおり、CaAlSiN_3 : Eu^<2+>および(Sr, Ca) AlSiN_3 : Eu^<2+>の両蛍光体を、安価な原料とより温和条件下で製造できることが明らかになった、これを踏まえて、合成条件等々をさらに最適化し、高輝度窒化物系蛍光体の量産レベルでの製造法を確立する計画である。 他方、上記を蛍光体を有機ポリマーに分散してシート化することで、太陽光またはLED等の人工光中の赤色成分を富化することが可能となる。この知見をもとに、高機能農業用シータの可能性について検討を加える予定である。
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Research Products
(6 results)