2014 Fiscal Year Annual Research Report
単一分子検出感度を有する近接場ラマンプローブの開発とナノ分析イメージングへの応用
Project/Area Number |
13J00730
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
馬越 貴之 大阪大学, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 近接場光学顕微鏡 / プラズモニクス / ラマン分光 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、近接場ラマン顕微鏡の検出感度・空間分解能向上を目的としている。検出感度・空間分解能は金属ナノプローブ先端のサイズや形状に大きく依存する。シリコンカンチレバープローブ形状を利用し、ナノリソグラフィと組み合わせることでサイズ・形状の精彩な制御を試みた。実際に光学実験を通して分解能の評価も行った。当該年度の研究成果は以下の通りである。 1、銀ナノトライアングルを有する金属ナノプローブの作成 近接場ラマン顕微鏡は、金属ナノプローブの先端で自由電子の集団振動を励起、局在増強電場を生成することで高感度・高分解能を達成する。電子の集団振動的な振る舞いを考えると、ナノロッドやナノトライアングルといった先鋭な構造を有する金属プローブが望ましい。まず、四角錐構造のシリコンカンチレバープローブの片面にのみ銀を蒸着し、三角形状の銀薄膜を作製した。サイズを小さくするため先端から数100 nm付近を集束イオンビームで削り取ることによって、ナノサイズの三角形状銀構造を作製することに成功した。 2、近接場ラマン顕微鏡への応用と光学特性評価 作製した三角形状銀ナノ構造を有するプローブを近接場ラマン顕微鏡へ応用し、空間分解能と検出感度の評価を行った。カーボンナノチューブのナノラマンイメージングを行い。形状像と同程度の回折限界を大きく超える空間分解能を達成した。また、ラマン強度で約5倍の増強を確認した。銀ナノトライアングルのサイズをより小さくすることによって、分解能及び検出感度のさらなる向上が期待できる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
先鋭な金属構造を有する金属プローブを再現性よく作製できる手法を確立すること、及び作製したプローブの近接場ラマン顕微鏡応用を本年度の主な目的としていた。ナノリソグラフィを取り入れることにより再現性高く三角形状銀ナノ構造をプローブ先端に作製することができるようになった。また、実際に近接場ラマン顕微鏡に応用し、回折限界を大きく超えた高い空間分解能を実現した。シグナルの高い増強も確信することができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
近接場ラマン顕微鏡の汎用性をより高めるため、さらに容易なプロセスで作製できる高空間分解能・高検出感度な金属ナノプローブの作製方を模索する。リソグラフィ的な手法と化学的な方法を組み合わせ、複合的なアプローチを持って先鋭な金属ナノ構造を作製する。具体的には、四角錐状のシリコンカンチレバープローブの片面に銅薄膜を蒸着によって作製し、硝酸銀溶液に浸す。イオン化傾向の違いにより銀イオンを還元しマイケルセカーカ不安定化によって、針状の銀ナノ構造をプローブ先端に作製する。
|
Research Products
(5 results)