2013 Fiscal Year Annual Research Report
腸管寄生性原虫赤痢アメーバの貪食におけるRab依存的輸送機構の解明
Project/Area Number |
13J00791
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
花舘 有希 筑波大学, 大学院生命環境科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 貪食 / 輸送 / 小胞体 / Rab |
Research Abstract |
本研究では赤痢アメーバEntamoeba histolyticaにおける、EhRab8Aが制御する貪食時の輸送メカニズムを解明することを目的としている。本年度は、(1)EhRab8Aの局在解析による輸送経路の決定、(2)EhRab8Aタンパク質が形成する複合体の発見について、研究成果を上げた。 (1)EhRab8Aの局在解析による輸送経路の決定 昨年度までの研究成果から、EhRab8Aは細胞膜への輸送を担うことがすでにわかっている。そこで、どのオルガネラからの輸送を担っているのかを調べるため、mycタグを付加したEhRab8Aの形質転換体を用いて局在を観察したところ、EhRab8Aは小胞体に局在していた。よってEhRab8Aは、小胞体から細胞膜へのタンパク質の輸送と、食食時における小胞体から食食胞への膜の供給を担っていることが考えられた。また、他種生物でRab8と相互作用して働くRabl1との共局在を確認したところ、EhRab8AはEhRabl1Bとは完全な非共局在を示した。さらに赤痢アメーバのゲノムを確認したところ、本来Rab8とRabl1との相互作用を介在するRab8-GEF(グアニンヌクレオチド交換因子)のホモログが赤痢アメーバでは保存されておらず、EhRab8AがEhRabl1Bとは別の輸送経路を制御している事が示唆された。この結果から、EhRab8Aは他種生物とは異なる独自の輸送経路を獲得したことが推察された。 (2)EhRab8Aタンパク質が形成する複合体の発見 EhRab8Aと相互作用をして働くエフェクター分子の同定を目的とした。mycタグを付加したEhRab8Aの形質転換体を用いて免疫沈降を行うことによって、相互作用分子の同定を目指した。免疫沈降を行うにあたりEhRab8A複合体の存在を確認したところ、EhRab8Aが約75-90kDaの複合体を形成していることを発見した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
EhRab8Aの発現抑制株で低下する表面タンパク質の同定・解析は十分な進展が見られず、今後解決策の検討が求められる。一方、EhRab8Aが制御する輸送経路の局在解析については、小胞体やゴルジ体との相対的位置の解明など成果が上がりつつあり、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
局在解析について、他の小胞体マーカーを用いることでEhRab8Aの局在をより詳細に解析し、EhRab8Aが担う輸送経路を同定する。また、EhRab8Aの輸送メカニズムや輸送ターゲットタンパク質を探索するため、EhRab8Aタンパク質のエフェクター分子、及び貪食に関与すると示唆される表面タンパク質の同定を目指す。さらに発現抑制株を用いたinvivo実験の系が確立したため、EhRab8Aの発現抑制によるvivoへの影響も確認する。
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Research Products
(2 results)