2014 Fiscal Year Annual Research Report
腸管寄生性原虫赤痢アメーバの貪食におけるRab依存的輸送機構の解明
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13J00791
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
花舘 有希 筑波大学, 生命環境科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 小胞体 / 貪食 / Rab GTPase / 寄生虫 / 小胞輸送 / Rab8 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は、原生生物の貪食機構に焦点を当て、貪食時に働く独自に多様化した Rab GTPase の機能解析を目指した課題である。本年度は、(1) EhRab8A 結合候補タンパク質の同定、(2) EhRab8A 変異株を用いた機能解析について成果を上げた。
(1) EhRab8A 結合候補タンパク質の同定 昨年度の研究成果から、EhRab8A が約75~90 kDa の複合体を形成していることがわかっている。そこで、免疫沈降法により複合体を形成しているタンパク質の同定を目指したところ、約30 kDa と約40 kDa の EhRab8A 結合候補タンパク質が観察された。LC/MSMS 解析で得られた候補タンパク質の中から、分子量の大きさと他種生物における機能/局在を考慮して EhRab8A と結合すると考えられるタンパク質を in silico 解析により絞ったところ、脂質代謝に関連するタンパク質が同定された。一般的に脂質の細胞膜への輸送は、小胞体と細胞膜が直接相互作用することで行われると報告されており、このことから、EhRab8A が小胞体から細胞膜への脂質代謝タンパク質の、直接的な輸送に関与することが示唆された。 (2) EhRab8A変異株を用いた機能解析 昨年度までに、EhRab8A の発現抑制株が貪食阻害を示すことを明らかにしてきた。そこで、EhRab8A の大量発現株と、GDP 結合不活性型/GTP 結合活性型変異株を用いて同様に貪食への影響を調べた。大量発現株の貪食効率は増加し、EhRab8A の過剰発現により貪食のターンオーバーが早くなることがわかった。また、GDP 結合不活性型変異株では特に変化がみられなかった一方で、GTP 結合活性型変異株では貪食効率が低下することがわかった。これは、GTP 結合活性型変異の影響で膜への局在が固定されたことで、タンパク質のターンオーバーが遅延し、貪食の効率が低下したと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
EhRab8A の相互作用タンパク質の発見に関して優れた成果が上がりつつある。昨年度、BN-PAGE で確認された EhRab8A 複合体を構成するタンパク質の候補を同定することに成功した。また、EhRab8A 変異株を用いた解析では過去の結果を裏付ける成果も上げている。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度同定された候補タンパク質と EhRab8A との相互作用を明らかにすることを目標に研究を進める。さらに、それぞれの候補タンパク質の機能解析を行うことで、EhRab8Aの輸送メカニズムの解明を目指す。
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Research Products
(2 results)