2014 Fiscal Year Annual Research Report
光格子中の量子縮退混合系を用いたアンダーソン・ハバード量子シミュレータの実現
Project/Area Number |
13J00931
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
小西 秀樹 京都大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 冷却原子 / 量子縮退気体 / 光格子 |
Outline of Annual Research Achievements |
イッテルビウム(Yb)とリチウム(Li)を量子縮退領域まで冷却する際に問題になるのが、重力サグによる空間的なオーバーラップの減少である。これを補正するために我々は波長532nm光強度勾配を導入し、その最適化を行った。重力サグ補正ビームのポインティングを変えることにより、Yb原子の位置が最大で約3µm上方向にシフトすることを確認した。これは空間的なオーバーラップを得るのに十分なシフトである。 次に我々は、波長532nmの3次元光格子を構築した。この波長はYb原子に対する光格子としてこれまで使われてきており、Yb原子を断熱的に導入するのが容易である。また、光格子中でのYbの準安定励起3P2状態への遷移を用いた高分解能分光を行う際に、1064nmに比べ高い分解能を得ることができる。1064nm光格子で行った実験と同様に、Yb単体とYb-Li混合系を532nm光格子に導入し、各光格子深さでのYbの干渉の明瞭度を測定したが、Liの存在による明確な違いは確認できなかった。これはYb-Li間の相互作用が小さいことが原因だと思われる。 また分光実験効率向上のため、新たにYbの3P2分光用の波長507nmの光源と、励起された原子を観測する際に必要な波長770nmと649nmのリポンプ用光源を作成した。507nm光源には数百kHz以下の狭い線幅が要求されるため、まず波長1014nmのECLDを作成し、その光を高フィネスのULE共振器にロックし周波数の狭窄化および安定化を行い、約70Hzと十分狭い線幅が達成できていることがわかった。507nmの光はULE共振器にロックしたECLDの光をさらにテーパーアンプでパワーを増幅し、周波数変換モジュールで1014nmの周波数倍波を取ることにより生成した。実験には最大約90mW使用でき、十分なパワーを得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
現在までに本研究課題実現の鍵となるYb(3P2)-Li(2S1/2)間のフェッシュバッハ共鳴探索を開始する予定であったが、原子オーブンのトラブルにより一時原子を使った実験が満足にできなくなってしまった。しかしその間に新たな狭線幅507nm光源の作成を行い、今後の実験の高効率化に向けた準備を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
完成した507nm光源を用い、Yb(3P2)-Li(2S1/2)間のフェッシュバッハ共鳴の探索を行う。ボソンである174Ybの3P2状態とLiの基底状態間の非弾性衝突レートがワシントン大学のグループによって測定され、磁場が高いほど非弾性衝突が大きいことが確認された。そこで非弾性衝突レートの小さい低磁場においてフェッシュバッハ共鳴の存在が期待されるフェルミオン173Yb-6Li間の共鳴探索を行う。
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Research Products
(2 results)