2014 Fiscal Year Annual Research Report
オレキシン神経の直接の下流で睡眠・覚醒を制御する神経回路の同定・解析
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13J00940
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
長谷川 恵美 金沢大学, 医薬保健学総合研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 睡眠 / 覚醒 / オレキシン / 薬理遺伝学的手法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、オレキシンニューロンの直接の下流で、睡眠・覚醒調節に重要な役割を果たす神経経路を同定する試みを行ってきた。前年度の2月に、米国科学雑誌「The Journal of Clinical Investigation」に論文として本研究が掲載された。背側縫線核・セロトニン作動性ニューロンの活性化では情動脱力発作が、青斑核・ノルアドレナリン作動性ニューロンでは覚醒の断片化が顕著に抑制されることを、初めて明らかにした。そこで今年度からは、複数ある背側縫線核・セロトニン作動性ニューロンの投射先について、どの脳領域への投射が情動脱力発作を抑制するのに重要であるのか、すなわち情動脱力発作抑制におけるセロトニン作動性ニューロンの作用脳部位を明らかにすることに取り組んでいる。実験手技としては、光遺伝学的手法と薬理遺伝学的手法を用いる。まず、非拘束下のマウスで脳波・筋電図を測定しながら光遺伝学的手法を行うための装置のセットアップ・条件検討を行った。SERT-Cre(セロトニン作動性ニューロン特異的にCreを発現)と Orexin/ataxin-3マウス(オレキシンニューロンが生後特異的に変性しナルコレプシー症状を示す)を交配し、Cre依存的にChR2 (Channelrhodopsin2/EYFP)を発現する組換えAAVベクターを背側縫線核に投与した。このマウスの背側縫線核に光刺激を与えて当該ニューロンを活性化したところ、情動脱力発作を抑制することができ、前年度の結果を異なる手法で再現できた。FOSタンパク質の免疫染色を用いて、光刺激により背側縫線核のセロトニン作動性ニューロンが活性化されていることも確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
オレキシンニューロンの下流において、睡眠覚醒制御に働く系の解析を行った。特に、ナルコレプシーの病態に関わるシステムの検討の結果、ノルアドレナリンニューロンが覚醒維持に働き、セロトニンニューロンがカタプレキシーの抑制に関わることから生理的にはレム睡眠の抑制に関わることを示したことは、従来の理解を覆す新しい概念を提案したことになり、大きな成果だと言える。
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Strategy for Future Research Activity |
現在は、前述のマウスにおいて背側縫線核セロトニン作動性ニューロンの投射先を一つずつ光刺激し、どの投射を活性化することで情動脱力発作が抑制されるか調べている。光遺伝学的手法で得られた結果をさらに、DREADD(Designer Receptors Exclusively Activated by Designer Drugs)を用いた薬理遺伝学的手法によって確認する予定であり、そのための準備も進めている。予備的ではあるが、光遺伝学的手法より背側縫線核セロトニン作動性ニューロンから扁桃体への投射が重要であるという結果を得ている。 今後、セロトニン作動性ニューロンが扁桃体を抑制することで情動脱力発作を抑制しているのではないかと予測できるため、薬理遺伝学的手法ではhM4Di(抑制性DREADD)を用いて研究を進めていく。この実験ではOrexin/ataxin-3マウスを用い、光遺伝学的手法で同定したセロトニン作動性ニューロンの作用部位にhM4Di(抑制性DREADD)を発現する組換えAAVベクターを感染させ、CNOの腹腔内投与により人為的に当該脳領域の神経活動を抑制することで、情動脱力発作を抑制できるかを検討する。同定した脳領域には、複数のニューロンタイプが存在しているため、ニューロンタイプ特異的に発現する組換えAAVベクターを作製し、情動脱力発作を抑制するのに十分なニューロンタイプの同定をさらに試みる。また逆に、同定した脳領域にhM3Dq(興奮性DREADD)を発現させることで情動脱力発作を人為的に生じさせることができないかも検討してみたい。これらの手法を用いて、オレキシンニューロンの直接の下流で情動脱力発作の抑制に関与している神経経路の全貌解明につなげていきたい。
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Research Products
(6 results)