2013 Fiscal Year Annual Research Report
高周期14族元素-炭素ハイブリッド型新規共役系化合物の創成
Project/Area Number |
13J01013
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
稲垣 佑亮 首都大学東京, 都市環境科学研究科, 助教
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Keywords | 分子機械 / ケイ素 / ゲルマニウム / X線結晶構造解析 / 固体重水素NMR / 分子ジャイロコマ / 複屈折 / 示差走査熱量測定 |
Research Abstract |
分子機械は分子内に特徴的な構造を複数含む超分子化合物で、光・熱・磁場などの外部刺激に応答して変化する分子の運動や構造を制御する研究が盛んに行われている。近年では、分子レベルの運動や構造の変化をいかにしてマクロな物性として取り出すかに興味が持たれている。大規模かご型フレーム骨格の内部にπ電子系が架橋した分子は、結晶中でもπ電子系が1軸回転可能な分子ジャイロコマとしての機能が期待される。我々はアルキル鎖で構成されたかご骨格と回転子であるπ電子系部位の連結部にケイ素を導入した分子について、固体NMR、単結晶X線結晶構造解析により結晶中での回転子の運動の温度依存性について明らかにしている。更に、マクロな物性の一つとして結晶の光学的性質である複屈折について、温度変化による複屈折の連続的な変化を観察している。分子運動と複屈折の相関をより詳細に解明するため、連結部にケイ素より高周期の14族元素であるゲルマニウムを導入した分子ジャイロコマを合成し、その物性を明らかにした。単結晶X線結晶構造解析により決定したゲルマニウム類縁体の結晶構造は、個々の分子が回転軸を揃えてスタックした構造をしていた。260K, 300K, 340Kにおける結晶構造を比較すると、高温になる程、ベンゼン環の配向に構造の乱れが生じていることを確認した。回転子に重水素を導入した誘導体に関する温度可変固体重水素NMRから、ゲルマニウム類縁体はケイ素類縁体に比べ回転子の運動がより容易になっていることを確認した。偏光顕微鏡を用いた複屈折の温度依存性について調べた結果、複屈折が高温になるにつれて連続的に減少する様子が観察された。これまで、結晶中の構造とマクロな物性の1つである複屈折との相関を研究した例は殆ど無く、今回ゲルマニウム類縁体の物性をケイ素類縁体と比較することにより、結晶固体中の構造とその結晶複屈折の関係についてより包括的な知見が得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
(抄録なし)
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Research Products
(4 results)