2013 Fiscal Year Annual Research Report
南極1.2mサブミリ波望遠鏡による大質量星形成過程の解明
Project/Area Number |
13J01017
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
今田 大皓 筑波大学, 大学院数理物質科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 南極 / サブミリ波・THz波 / 広視野光学系 |
Research Abstract |
本研究では大質量星の形成過程の解明されていない部分のうち、巨大分子雲内で生じる高密度ガスから大質量星に進化する条件を明らかにするため、巨大分子雲を効率よく観測できる広視野望遠鏡を開発している。大質量星形成の解明には高密度領域の温度や密度、速度分布などを調べることが重要であり、そこをトレースできるサブミリ波・THz波の観測を計画している。今年度の研究計画は1. 受信機など観測に必要な装置の基礎実験、詳細設計、2. 広視野を持つ光学系の検討であったが、主に望遠鏡の光学設計を行なった。受信機の詳細設計などよりも先行して行なったのは、従来の電波望遠鏡の光学系では掃天観測に必要な広視野の光学系をつくることができず、広視野の光学系は従来の電波望遠鏡のそれとはまったく異質のものであるからである。そのため、早急に光学系の検討を行う必要があり、可視・赤外線の望遠鏡の光学系を参考に光学設計を先行させた。 従来の電波望遠鏡では準光学を用いて光学系を設計していたが、本研究では可視・赤外望遠鏡にならって幾何光学を用いて光学系を評価した。幾何光学を用いて設計するにあたり必要な知識や技術を習得するため、科研費の一部を使っていくつかの国内の研究機関や国内外の学会へ行った。その結果、周波数1.5THz、F/6のナスミス焦点上に視野角1度以上を確保することができた(ストレール比0.8以上)。従来の電波望遠鏡と比較すると、野辺山45m鏡(230 GHz)の視野角の10倍以上、天空上の観測領域の立体角にして100倍以上になる。効率よく観測をする上で、ここで得られた光学系の解は観測効率を劇的に向上させ、今後の研究の要となる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成25年度は光学系の設計に注力し光学系については今後の研究にとって重要な結果を得ることができた。一方で、受信機等の設計、開発がほとんど進まなかったため、やや遅れているとした。
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Strategy for Future Research Activity |
これまで幾何光学による設計を行なったので、今後は幾何光学で得られた光学系を準光学の手法によって評価することが必要である。幾何光学による評価と準光学による評価の関係は必ずしも自明ではないためである。同時に、設計した光学系を南極という過酷な環境下で実現するために、どのような望遠鏡の支持構造をつくればよいか、どのように極端な環境から望遠鏡全体を守るかの検討を進めていく。この検討によっては、受信機性能を引き出すための満たすべき要求も変わってくるため、受信機周辺の設計は一時中断する。よって、今後は設計した光学系の評価と、南極という過酷な環境下でどのように光学系を実現するかの検討を行っていく。
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Research Products
(2 results)