2013 Fiscal Year Annual Research Report
Piwiタンパク質によるプラナリア全能性体性幹細胞の維持機構の解明
Project/Area Number |
13J01064
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
鹿島 誠 京都大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | プラナリア / 全能性幹細胞 / Piwi / 転移因子 / トランスクリプトーム |
Research Abstract |
本研究はプラナリア全能性幹細胞(新生細胞)を起点とする幹細胞システムにおいてPiwiBが担う分子機構の解明を目指している。我々は昨年度までにpiwiBノックダウン個体において異所発現が確認される転移因子(gypsy P1)を同定していた。しかし、piwiBノックダウン個体で確認されるgypsy P1の異所発現がどのような細胞で起こっているのかは明らかになっていなかった。そこで、本年度はgypsy P1の異所発現がどのような細胞で起こっているのかを明らかにすることを目指した。結果、piwiBノックダウン個体で確認されるgypsy P1の異所発現は新生細胞の分化の過程で起こっていることを示唆する結果を得た。そして、「プラナリアの正常個体ではPiwiBが新生細胞の分化の過程で転移因子の発現を抑えることで全能性幹細胞システムに寄与している」という内容で発表を行った(第46回日本発生生物学会大会、CDBsymposium 2014)。現在それらの発表に基づいた論文の投稿準備中であり、次年度中に論文として発表する目途がたっている。さらに、網羅的にPiwiBの標的遺伝子を同定するために、piwiBノックダウン個体のトランスクリプトーム解析も開始した。プラナリアD. japaponicaにはリファレンスとなると転写産物の配列が存在しなかった。そこで、リファレンス作成のためにロングリードを誇るMiseqによるRNA-seqを行うとともに、ロングリードのアセンブルに特化したプログラムCARLを開発した(CARLについては第三回NGS現場の会で発表)。また、発現量解析のためにHiseqを用いたpiwiBノックダウン個体のRNA-seqも外注済みである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在までのPiwiについての研究成果を論文にする目途は立ち、次の段階である網羅的なPiwiBの標的遺伝子の同定に移りつつある。そのために必要な次世代シークエンスや解析プログラムの開発もほぼ完了しており、次年度中に標的遺伝子の同定を行えると考えている。以上より本研究は順調に進展していると評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、PiwiB標的遺伝子の網羅的な同定のために、piwiBノックダウン個体のトランスクリプトーム解析を行っていく。その際に問題どなるのが、発動変動遺伝子の中にはPiwiBの直接の標的でない転写産物が含まれていることである。PiwiBはヘテロクロマチンの形成に関与していると考えられるので、標的認識に関与しているPiwiB結合piRNAのシークエンス及びヘテロクロマチン状態やPiwiB結合部位を調べるためのChIP-seqを行い、トランスクリプトーム解析の結果と組み合わせることで、PiwiBの標的遺伝子の同定を試み、全能性幹細胞システムにおけるPiwiBの役割の包括的な理解を目指す。
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Research Products
(3 results)