2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13J01089
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
早瀬 元 京都大学, 理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 有機-無機ハイブリッド / 多孔体 / ゾルーゲル法 / エアロゲル / 撥水・撥油性 / 力学特性 / 分離媒体 / 相分離 |
Research Abstract |
有機ケイ素アルコシキシドを用いて有機-無機ハイブリッド多孔体を新たに合成し、撥液性や断熱性能など応用面での評価を行った。 シリコーン柔軟多孔体マシュマロゲルの研究においては、表面に有機反応を用いることで新たな特性をもつ材料の作製に成功した。これまでの研究においてマシュマロゲルは高い搬水性をもつことがわかっていたが、長鎖アルカンなどの有機液体に対しては撥液性を示さず、多孔体内部に吸収してしまう特性が見られた表面にビニル基をもつマシュマロゲルに対しフルオロアルキル鎖を化学修飾することで表面自由エネルギーが低下し、撥油性を示すことがわかった。塊状体としてこのような性質を示す材料はこれまでにほとんど報告されておらず、積極的に発表を行った。この研究結果を報告した論文はAngewandte Chemie International Editionに掲載され、新聞や科学雑誌などに掲載された。 ポリメチルシルセスキオキサン(PMSQ)エアロゲルの研究においては、界面活性剤の添加によるマクロ多孔構造制御の手法を用いて異なる平均細孔径をもつエアロゲルを作製し、物性評価を行った。また、常圧乾燥により乾燥ゲルを得る手法の開発に取り組み、透明で市販の断熱材よりも低い熱伝導率をもつPMSQエアロゲルを作製することに成功した。これらの成果はJournal of Materials Chemistry Aに論文として掲載された。 また、これまで課題であったPMSQエアロゲル多孔体の脆性の改善を目指して、PMSQエアロゲルとナノファイバーの複合材料の合成研究にも取り組んだ。セルロースナノファイバーを用いて複合化を行うことでこれまでよりも低密度のPMSQエアロゲルの作製に成功し、優れた断熱性能をもっことがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
新規多孔体開廃において成果を拳げることができた。特に柔軟多孔体マシュマロゲルの研究においては、これまで報告例がなかった任意の切断面で超撥水・超撥油性をもつバルク体を合成に成功したことから、メディアでも報道されたことで研究機関のみならず企業からも注目される成果となった。また、これまで合成や細孔構造制御を重視して研究されていたPMSQエアロゲルにおいても、熱伝導率測定など実用化に近い物性評価を行ったことは前進といえる。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続きマシュマロゲルおよびPMSQエアロゲルを中心に有機-無機ハイブリッド多孔体の作製と物性評価に取り組んでいく。マシュマロゲルの研究において、表面修飾によって多彩な表面機能をもつ材料の作製に積極的に取り組んでいく。この塊状材料は化学的に安定であり取扱いも容易であることから、固相抽出などに用いる新たな分離媒体への応用を探る。PMSQエアロゲル研究に関しては、より容易な合成プロセスによる透明断熱材作製を試みる。また、各種ナノファイバーを用いた複合エアロゲルの力学特性への影響を調べる研究や、これまで報告されていない合成法を用いた超低密度透明エアロゲルの作製にも取り組んでいく。
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Research Products
(23 results)