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2014 Fiscal Year Annual Research Report

コヒーレントラマン分光法による時間分解ラマン光学活性測定法の開発

Research Project

Project/Area Number 13J01123
Research InstitutionThe University of Tokyo

Principal Investigator

平松 光太郎  東京大学, 理学系研究科, 特別研究員(DC1)

Project Period (FY) 2013-04-01 – 2016-03-31
Keywords分子分光 / 超高速分光 / キラリティ
Outline of Annual Research Achievements

本研究課題の最終目標である、フェムト秒時間分解CARS-ROA分光法の開発に向け、次の2点の装置開発、改良を行った。
1.フェムト秒時間分解円二色性分光法の開発に成功した
時間分解ROA分光法の基礎として2013年度からフェムト秒時間分解円二色性(CD)分光法の開発を行ってきた。2013年度までにフェムト秒レーザーを光源とする定常状態CD分光測定を実現していたが、2014年度には実際にフェムト秒時間分解測定を実現した。測定したスペクトルから測定の感度を見積もったところ415-720 nmという広帯域のスペクトルをおよそ0.1 mdegという高感度で測定できていることを見出した。これまで単色光で行われていた時間分解CD測定での感度は10 mdeg程度であるため 、今回開発した装置は単色光プローブのものと比べても2桁程度感度が高く、さらに広帯域スペクトルを一挙に測定できるという優れた特徴を有している。また、時間分解測定では、定常状態測定の時とは異なり、ポンプ光によってサンプルに異方性が誘起され、異方性による偏光変化の寄与もあるため、その解析に注意を要する。我々の開発した装置では時間分解スペクトルを測定できるため、多変量解析を用いる事で、異方性由来の偽信号を明確に区別できることを示した。
2.CARS-ROA分光法の水溶液測定への応用及びスペクトルの量子化学計算を行った
2012年に世界初となるCARS-ROA観測を報告し、2013年度には光源を可視光にすることによって10倍程度の感度向上を実現した。2014年度はこれまでに開発・改良した装置を用いて生体分子水溶液のCARS-ROAスペクトル測定に成功した。また、これまでに測定していた(-)-beta-pineneのCARS-ROAスペクトルを量子化学計算を用いて定量的に再現することに成功し、今後CARS-ROA測定を用いて分子構造を議論するための基礎を築いた。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

1: Research has progressed more than it was originally planned.

Reason

当初の予定とは前後したが、3年目に予定していたフェムト秒時間分解キラル分光法の開発に成功した。フェムト秒レーザーの自己位相変調によって生じる白色光をプローブとして用い、キラルなサンプルによって生じる偏光変化をヘテロダイン検出することで、当初の予想を大きく上回る性能(415 - 720 nmの広帯域において0.1 mdegの感度)の時間分解円二色性分光測定が実現した。
Δ-及びΛ-[Ru(bpy)3]2+をサンプルとして用い、その基底状態のCD信号のブリーチと励起状態由来の過渡CDスペクトルの測定に成功した。
また、時間分解CD測定に特有の、異方性によるアーティファクトの問題を、得られた時間分解スペクトルを特異値分解を用いて解析することで解決できることを示した。このようなアプローチは広帯域な時間分解スペクトルを取得することで初めて可能になるもので、これまでの時間分解CD測定においては不可能であった。

Strategy for Future Research Activity

前年度に開発した時間分解円二色性(TRCD)分光装置が従来のTRCD分光装置と比べ遥かに高い性能を有し、多くのキラル分子の反応中間体の測定が可能であると期待される。そのため、当初の時間分解CARS-ROA分光法開発の予定を変更し、TRCD測定を数多くの系に応用することに重点をおいて研究を進める。具体的に以下の系の測定を予定している。
1.ミオグロビン-一酸化炭素複合体の光解離ダイナミクス
ミオグロビン-CO複合体は光照射によってCOが脱離することが広く知られている。光解離のダイナミクスはこれまでに種々の時間分解分光法により測定され、いくつかのメカニズムが提案されてきた。本研究では、COの光脱離過程をTRCD測定することにより、そのメカニズムの解明を目指す。
2.シクロデキストリン中の光化学
シクロデキストリンは様々な化学種を包摂し、キラル選択的な反応場を与える事が知られている。シクロデキストリンに包摂された分子のTRCD測定を行うことで、そのキラル選択制の機構解明や、さらなる高いキラル選択制を得るための指針を得ることを目指す。

  • Research Products

    (4 results)

All 2015 2014

All Presentation (4 results)

  • [Presentation] 広帯域・高感度フェムト秒時間分解円二色性分光法の開発2015

    • Author(s)
      平松光太郎, 永田敬
    • Organizer
      日本化学会第95春季年会
    • Place of Presentation
      日本大学船橋キャンパス (千葉県,船橋市)
    • Year and Date
      2015-03-26 – 2015-03-29
  • [Presentation] フェムト秒パルスを光源とした広帯域CD/ORDスペクトルの測定2014

    • Author(s)
      平松 光太郎, 永田 敬
    • Organizer
      第8回分子科学討論会
    • Place of Presentation
      広島大学 (広島県,東広島市)
    • Year and Date
      2014-09-21 – 2014-09-24
  • [Presentation] Multiplex CARS-ROA spectroscopy with visible excitation2014

    • Author(s)
      Kotaro Hiramatsu, Hideaki Kano and Takashi Nagata
    • Organizer
      The 24th International Conference on Raman Spectroscopy
    • Place of Presentation
      Jena University, Jena, Germany
    • Year and Date
      2014-08-10 – 2014-08-15
  • [Presentation] Development of a femtosecond broadband circular dichroism spectrometer with active heterodyne detection2014

    • Author(s)
      平松 光太郎, 永田 敬
    • Organizer
      平成26年度日本分光学会年次講演会
    • Place of Presentation
      理化学研究所 (埼玉県,和光市)
    • Year and Date
      2014-05-26 – 2014-05-28

URL: 

Published: 2016-06-01  

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