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2014 Fiscal Year Annual Research Report

中枢神経損傷における神経系と免疫系のクロストーク

Research Project

Project/Area Number 13J01148
Research InstitutionOsaka University

Principal Investigator

田辺 章悟  大阪大学, 医学系研究科, 特別研究員(DC1)

Project Period (FY) 2013-04-01 – 2016-03-31
Keywords中枢神経損傷 / 免疫
Outline of Annual Research Achievements

【研究の目的】
頭部への強い衝撃や虚血などにより中枢神経が損傷を受けると言語障害や運動障害など様々な障害が起こる。ひとたび損傷を受けた中枢神経が再生することは極めて困難であり、重篤な後遺症が残ることが多い。一方、損傷した神経細胞の周囲ではミクログリアの活性化やリンパ球の浸潤など免疫担当細胞が活性化して炎症を引き起こしていることが知られている。これら免疫担当細胞は死滅した神経細胞を処理する役割を担うが、同時に生じた炎症により正常な神経細胞も攻撃してしまい症状を悪化させている。従ってこれら免疫担当細胞の活性化による炎症を抑制することが症状の緩和につながる可能性が考えられる。そこで申請者は炎症を抑制させるターゲット分子の候補として中枢神経損傷後に発現が上昇するRGMaという分子に着目した。RGMaは軸索の伸長阻害作用を有する一方で、T細胞に作用して免疫応答を調節するなど免疫機能にも関与していることが明らかになっている。これらの背景から申請者は免疫系におけるRGMaの役割を解明し、炎症を伴う中枢神経疾患に対する新規治療法の開発を目的としている。

【研究実施計画】
昨年度の研究で、in vitroにおいてT細胞の1つであるTh17細胞がRGMaを発現し、神経細胞死を誘導していることを明らかにした。本年度はin vivoにおける機能解析を目的に研究を行った。Th17細胞は中枢性の自己免疫疾患である多発性硬化症との関連が強く示唆されている。Th17細胞をマウスに移植することで多発性硬化症に類似した脳脊髄炎を誘導し、そのモデルマウスに対してRGMa中和抗体を投与すると脳脊髄炎の症状が緩和することがわかった。症状が緩和したマウスでは炎症部の神経傷害が抑制されていた。これらの実験結果からTh17細胞が発現するRGMaはin vivoにおいて脳脊髄炎の神経傷害に寄与していることが明らかになった。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

1: Research has progressed more than it was originally planned.

Reason

本研究の当初の目的は中枢神経に常在している免疫細胞であるミクログリアが発現するRGMaをターゲットとしていた。しかしRGMaの詳細な発現解析により、RGMaはミクログリアのみではなく炎症の悪玉細胞であるTh17細胞にも発現していることを突き止めた。更に申請者はTh17細胞が発現しているRGMaが炎症の惹起ではなく、神経傷害に直接寄与しているという全く想定外の実験結果を得ている。これらの事実はRGMaを阻害することで、ミクログリアによる炎症抑制のみでなく、Th17細胞による神経傷害を緩和できる可能性を示唆している。これまでの先行研究では、炎症抑制と神経傷害に同時に関与している分子は全く報告されていない。従ってRGMaの阻害薬は炎症抑制と神経傷害を同時に緩和できる可能性を有しており、既存の薬より優れた治療法となることが期待できる。

Strategy for Future Research Activity

これまでの申請者の研究により、RGMaはT細胞に発現して神経に対して傷害を与えていることが明らかになった。しかし、他の神経疾患や中枢神経損傷においても同様な機能をもっているのかは不明である。中枢神経損傷においては末梢からT細胞が中枢神経に浸潤して炎症を惹起し、中枢神経の二次損傷を与えていることが示唆されている。今後はT細胞に発現しているRGMaが中枢神経損傷の二次損傷に関与している可能性を中心に検討していきたいと考えている。以下、具体的な実験計画を述べる。

マウス脳挫傷モデルの損傷側にRGMa中和抗体を投与し、RGMa抗体投与群と非投与群の間で、以下の事項を評価する。
1) 損傷から2ヶ月に渡り、ladder walk試験、staircase試験を行い、運動機能を評価、比較する。2) 損傷を受けたマウスの脳切片を作製し、Nissl染色および免疫組織染色により残存している神経細胞の数を比較する。3)神経細胞に発現するRGMaの受容体であるneogeninの発現を抑制し、RGMaによる神経傷害が抑制されるかどうかを検討する。

  • Research Products

    (5 results)

All 2015 2014

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results,  Acknowledgement Compliant: 1 results) Presentation (4 results)

  • [Journal Article] Repulsive guidance molecule-a is involved in Th17 cell-induced neurodegeneration in autoimmune encephalomyelitis.2014

    • Author(s)
      Shogo Tanabe, Toshihide Yamashita
    • Journal Title

      Cell Reports

      Volume: 9 Pages: 1459-1470

    • DOI

      10.1016/j.celrep.2014.10.038.

    • Peer Reviewed / Acknowledgement Compliant
  • [Presentation] 脊髄炎におけるTh17細胞のRGMaを介した神経傷害機構2015

    • Author(s)
      田辺章悟、山下俊英
    • Organizer
      大阪大学医学系研究フォーラム
    • Place of Presentation
      大阪
    • Year and Date
      2015-02-17
  • [Presentation] 脳脊髄炎におけるTh17細胞のRGMa発現亢進に伴う神経傷害性の獲得2014

    • Author(s)
      田辺章悟、山下俊英
    • Organizer
      包括脳ネットワーク冬のシンポジウム
    • Place of Presentation
      東京
    • Year and Date
      2014-12-11 – 2014-12-13
  • [Presentation] 脳脊髄炎におけるTh17細胞のRGMa発現亢進に伴う神経傷害性の獲得2014

    • Author(s)
      田辺章悟、山下俊英
    • Organizer
      グリア研究会
    • Place of Presentation
      東京
    • Year and Date
      2014-12-06
  • [Presentation] Repulsive guidance molecule-a is involved in neuronal damage induced by Th17 cells in experimental autoimmune encephalomyelitis.2014

    • Author(s)
      Shogo Tanabe and Toshihide Yamashita.
    • Organizer
      Society for Neuroscience
    • Place of Presentation
      Washington D.C., U.S.A.
    • Year and Date
      2014-11-15 – 2014-11-20

URL: 

Published: 2016-06-01  

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