2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13J01363
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
外川 奈津子 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 血小板 / SLC17A9 / ATP / ポリリン酸 |
Outline of Annual Research Achievements |
血小板の濃染顆粒内には高濃度のADPやATPが蓄積されており、これらが開口放出されることが血液凝固の最初のステップである。しかしながら、顆粒内にどのようにしてヌクレオチドが蓄積されるのか、そのメカニズムは明らかにされていなかった。当研究室は、2008年にSLC17A9が、小胞内にヌクレオチドの蓄積を担う、vesicular nucleotide transporter (VNUT) であることを発見した。私は、VNUTこそが血小板の濃染顆粒内へのヌクレオチドの蓄積を担っているのではないかと考え、実証を試みた。以下の項目について明らかにした。1.VNUTは血小板の濃染顆粒に局在している。2.VNUTは血小板において機能している。3.巨核芽球のライン化細胞であるMEG-01細胞にて、VNUTの発現抑制により、ATPの輸送及び分泌が抑制された。4.VNUTの特異的阻害剤であるグリオキシレートにより、血小板及びMEG-01細胞のATP輸送及び放出が抑制された。以上のことから、VNUTは血小板の濃染顆粒に局在し、ヌクレオチドの蓄積を担っていると結論し、Physiological Reportに発表した。本研究により、長年未解決であった血小板のヌクレオチド蓄積機構解明することができた。 現在、VNUTノックアウトマウスにおける血小板凝集能を解析している。 濃染顆粒にはATPではなくADPが多く蓄積されている。生理的条件下では、VNUTにより輸送されるのは、ATPであると考えられる。しかしながら、なぜATPではなくADPが濃染顆粒内に蓄積されるのかは明らかにされていない。血小板には高濃度のポリリン酸が含まれており、新しい血液凝固の初発因子として注目されている。ポリリン酸は濃染顆粒内で合成されており、ポリリン酸合成酵素(キナーゼの一種)が存在すると予測し、実証を試みている。VNUTノックアウトマウス血小板におけるポリリン酸を定量し、現在検証中である。また、ポリリン酸合成酵素の候補物質も同定しつつある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
VNUTは血小板の濃染顆粒に局在し、ヌクレオチドの蓄積を担っていると結論し、Physiological Reports に発表した。この成果をもとに、VNUTノックアウトマウスの血小板凝集能の解析を進行中である。また、濃染顆粒内におけるADP高蓄積のメカニズムを解明するためのポリリン酸測定系は既に確立し、血小板におけるポリリン酸を定量した。さらに、ポリリン酸合成酵素の候補物質も同定しつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
VNUTノックアウトマウスの血小板におけるポリリン酸量がどのように変化しているのか、さらに詳細に調べる。ADP を分泌するMEG-01細胞にはポリリン酸を合成する酵素活性があることを予備的に認めている。そこで、ADPとポリリン酸生成を指標としてこの酵素を精製する。タンパク質の配列から酵素を特定し、cDNAをクローン化する。また、合成酵素の特異抗体を調製し、血小板におけるポリリン酸合成酵素の存在及び局在を確認する。さらに、精製したポリリン酸合成酵素とVNUTの共再構成系を構築し、ADPとポリリン酸が合成される過程を実証する。以上の解析から、濃染顆粒におけるADP高蓄積のメカニズムを解明する。
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Research Products
(3 results)