2013 Fiscal Year Annual Research Report
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13J01482
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
齊藤 諒介 東北大学, 大学院理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 前期三畳紀 / 海洋無酸素 / シアノバクテリア / 古細菌 |
Research Abstract |
平成25年度は、上部ペルム系―中部三畳系の野外地質調査及びサンプル調査を行った。また、下部―中部三畳系のサンプルの有機・無機地球学的分析、及び薄片分析を行った。 1南中国の巣湖の下部三畳系からは、還元環境を示すバイオマーカーの濃度が前期三畳紀後期に向かって上昇していく傾向に同調して、還元環境でより堆積しやすい元素の濃度が上昇するのが確認された。この還元環境が原因でペルム紀末大量絶滅からの生物回復がさらに遅れた可能性を示唆できた。 2海洋の一時生産者の構成について、南中国の堆積岩の分析を通じて、シアノバクテリアが前期三畳紀の間繁栄していたことが分かった。カンブリア紀以前の海と似ており、前期三畳紀の間に生物大爆発が起こる前のカンブリア紀以前の環境と同様にシアノバクテリアが繁栄していたという事実は、ペルム紀末大量絶滅がいかにその規模が大きく、当時の生態系を破壊したかということを示唆させる。 3南中国の下部-中部三畳系から得られた石灰岩について、その石灰岩を構成する古海洋生物と、同一堆積岩に含まれる還元環境にて形成される堆積有機分子(ダイベンゾチオフェン)及び有機炭素含有量の関係から、より強い古還元環境が示唆される試料においては、石灰岩に含まれる古海洋生物が少ないことがわかた。酸化還元環境は古海洋生物に影響を与えていたということが示唆された。 4南中国の前期三畳紀後期の還元環境発達直後に造礁された微生物礁に含まれる主な炭化水素の由来は古細菌に由来するということを発見した。過去現在を通して、今までいかなる微生物礁も古細菌の炭化水素で占められているという報告はなく、また、通常微生物礁における古細菌の割合というのは10%にも満たない。したがって、今回の発見は、古細菌が微生物礁に大きく関与していた可能性を示す結果となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画通り、野外調査及び有機・無機地球化学的分析、薄片分析を実施し、新たな前期三畳紀の環境変動を明らかにすることができたから。
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Strategy for Future Research Activity |
現在のところ、データが多く集まっている研究地域は南中国である。今後は南中国以外の地域(日本やハンガリー)のデータを集め、よりグローバルな環境変動を捉えていく。
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Research Products
(2 results)