2014 Fiscal Year Annual Research Report
マイクロ機械構造体の信頼性向上のための単結晶シリコンの破壊特性評価
Project/Area Number |
13J01559
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
上杉 晃生 京都大学, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 単結晶シリコン / 引張試験 / 疲労試験 / MEMS / マイクロ構造 / 結晶異方性 / 高温試験 / 信頼性 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.マイクロからナノスケールまでの構造体の破壊特性の評価:本研究では高温環境で単結晶シリコン微細構造に対して引張試験を行い,構造寸法・周囲温度が破壊強度に及ぼす影響だけではなく,脆性延性遷移温度に対する構造寸法の影響についても評価を行っている.今年度ははじめに測定安定性向上のための高温引張試験装置改良に取り組んだ.その結果,前年度の測定にて高温下でみられた不規則な変動を低減し,より信頼性の高い測定データを得ることができた.改良前後のデータを合わせて脆性延性遷移温度のサイズ効果について考察し,装置の改良及び考察結果を国際学会・論文にて報告した.また,これに並行して引張軸を複数の結晶方位に対応させた試験片を4種類の幅寸法を持たせて設計・作製しており,これらの試験片の測定によって脆性延性遷移温度に対する構造寸法の影響をより明らかにできるものと考えている.また,高温環境下での画像計測による塑性変形の検出を目指して試験装置の改良にも取り組んだ. 2.引張疲労試験:単結晶シリコンの疲労現象にはいくつかのメカニズムが主張されており,本研究では応力比>0での引張疲労試験によって,より単純な応力状態における疲労現象を分析し,疲労破壊メカニズム解明に資することを目指している.前年度に引き続き,静電チャックによる試験片把持を用いた引張疲労試験の繰返し負荷の高速化に取り組んだが,予備試験にて測定の不安定化などの問題がみられたため,この方法では1千万回程度の高いサイクル数までの測定は困難であると判断した.新たに引張疲労試験方法を模索し,単結晶シリコンのピエゾ抵抗効果を利用したひずみゲージを集積させた試験チップを用いて複数のサンプルを並列して測定する方法を検討している.この方法により測定全体に要する時間の短縮を目指す.これまでに試験チップと試験器の設計を行い,現在試験チップの作製に取り組んでいる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
従来試験法の問題点の解決に取り組んで測定方法の改良や模索を行い,3年目の研究へと繋げるための2年目の進展としては十分と考える.また,高温引張試験で得られた測定結果に対して,脆性延性遷移温度(BDTT)に対する構造寸法の影響を,すべりの生じる結晶面に沿った長さの影響として解釈する知見を得た.このような測定・考察結果はこれまでに報告されておらず,MEMS分野で最も重要な国際会議であるMEMS2015(採択率40%程度)にも採択されており,十分な成果を得られたと考える.
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Strategy for Future Research Activity |
マイクロからナノスケールまでの構造体の破壊特性の評価として,2年目の測定で得られた知見に基づいて新たに作製した試験片の測定を行う.この測定によって,周囲温度と構造寸法の影響をより詳細に考察できるものと考える.また引張疲労試験として,新たに作製した試験チップ・試験器によって予備試験を行って問題点の分析を行い,測定方法の確立と引張疲労特性の評価を行う.
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Research Products
(9 results)