2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13J01646
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Research Institution | National Astronomical Observatory of Japan |
Principal Investigator |
松岡 良樹 国立天文台, 光赤外研究部, 特任助教
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Keywords | 光学赤外線天文学 / 観測的宇宙論 / 活動銀河核 |
Research Abstract |
今年度は主に米国プリンストン大学を拠点とし、Michael Strauss教授らとともに、Sloan Digital Sky Surveyの多波長撮像データを用いた活動銀河核母銀河の研究に取り組んだ。特にStripe 82と呼ばれる特別観測領域で得られた高精度のデータと、点源関数および銀河モデル関数の2つのプロファイルを使って、低-中赤方偏移にあるクエーサー像プロファイルを活動銀河核と母銀河の二成分に精度良く空間分離する手法を開発した。その応用により、ほぼ全てのクエーサーは星総質量が10^<10>太陽質量を越えるような巨大銀河に選択的に出現していること、一方で通常の巨大銀河とは対照的に、クエーサー母銀河では異常に活発な星形成活動が起こっていることを突き止めた。これらは銀河と巨大ブラックホールの共進化を特徴付ける非常に重要な事実である。特に母銀河の活発な星形成については、最新の理論モデルが提唱する活動銀河核フィードバック(活動銀河核、特にクエーサーにより生み出される放射・力学エネルギーが母銀河または暗黒物質ハローのガスと相互作用し、星形成を阻害する)の予測とは一見矛盾するように見える。このことは、もしも活動銀河核フィードバックが存在するとしても、その効果が星種族に発現する時期とクエーサーの最高光度時期とは大きく隔たっているという重要な可能性を示唆している。また得られた母銀河の星質量と、クエーサー輝線から推定される巨大ブラックホール質量とを比較した結果、両者の間に明らかな正の相関が確認された。この相関は近傍宇宙の静穏な(活動銀河核を伴わない)銀河で確認されており、銀河と巨大ブラックホールの共進化を裏付ける最も重要な証拠と言われる。我々の結果は、巨大ブラックホールの最高効率成長期と考えられるクエーサー期にあっても、この相関が保持されることを示している.
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Strategy for Future Research Activity |
(抄録なし)
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Research Products
(4 results)