2014 Fiscal Year Annual Research Report
糖タンパク質エリスロポエチンの精密化学合成とその糖鎖機能解明の研究
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13J01661
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
村上 真淑 大阪大学, 理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 天然物合成 / ケミカルバイオロジー / 糖タンパク質 |
Outline of Annual Research Achievements |
エリスロポエチン(EPO)は赤血球増殖誘導活性を持つ、糖鎖修飾を高密度に受けた糖タンパク質である。EPOの生理活性には24、38、83位に結合した複合型シアリル糖鎖が必要であり、その糖鎖末端のシアル酸が活性増加に関与していることが知られている。しかし、主流となる糖タンパク質調製法である生物学的手法によって得られるEPOは、タンパク質構造は同じでも糖鎖構造や数が不均一な混合物となり、糖鎖構造と活性の相関関係を明らかにすることは困難であった。均一な糖鎖構造を有するEPOの有機合成は、1)シアリル糖鎖が酸性条件で不安定であること、2)高糖鎖修飾された糖タンパク質の全合成の手法が確立されていないこと、が課題となり研究は困難を極めていた。 本研究は、単一構造の糖鎖をもつEPOを化学合成すること、糖鎖がEPOの血球増殖活性に与える影響を調べることを目的とし、おこなった。 糖鎖は鶏卵から単離したヒト型と同じシアリル糖鎖を精製し用いた。そして、ペプチド固相合成によりシアル酸をもつシアリル糖ペプチドチオエステルに変換後、それらを連結することでEPOの全長ポリペプチドを合成した。次に、EPOのフォールディングの実施ならびにその過程を解析し、EPOがもつ糖鎖の数、位置によってフォールディングの収率が影響をうけることを考察した。そして、EPOの天然型の糖鎖付加部位を変えて誘導体も合成した。 5種のEPO誘導体の生理活性評価などから、38位、83位に結合した糖鎖の重要性が示唆された。これら糖鎖は、タンパク質部位の疎水性面を覆うことでEPOの水溶性を高めたり、タンパク質間の非特異的相互作用・アグリゲーションを抑えるとともに、疎水性面を認識するプロテアーゼによる分解から保護することで、EPOの安定性を向上させ、生理活性を発現できるものと推論した。 これらの結果は、糖質化学、タンパク質化学、糖鎖生物学にまたがる重要な研究成果であると考えている。
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Research Progress Status |
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(2 results)