2014 Fiscal Year Annual Research Report
皮膚ターンオーバーの破綻を惹き起こす微小構造変化のイメージング
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13J01699
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
一本嶋 佐理 北海道大学, 情報科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 蛍光イメージング / 皮膚 / 細胞分裂 / ケラチノサイト / 分子配向 |
Outline of Annual Research Achievements |
皮膚は、常に細胞のターンオーバーによって恒常性を維持しているが、継続的な刺激や老化によって、ターンオーバーが破綻し構造が変化する。例えば、紫外線照射により、表皮は肥厚し、真皮ではコラーゲン線維が変性する。本研究では、2光子顕微鏡を用いた3次元タイムラプスイメージングにより、外部刺激時の表皮・真皮の変化の初期過程を可視化することを目的とした。 平成25年度までに、ROSA26-H2B-EGFPマウスとヘアレスマウスとの交配によってH2B-EGFPヘアレスマウスを樹立し、非侵襲的な皮膚の3次元観察に成功していた。そこで平成26年度は、紫外線を照射したマウスについて3次元タイムラプスイメージングを行い、皮膚の肥厚と細胞分裂数の増加を確認した。更に照射条件の検討も行い、条件によって肥厚の程度が異なることが明らかになった。さらに本年度は、足の裏の皮膚などは他の部位に比べ厚いなどといった、部位による厚さの差違を活用し、厚さの維持機構の解明に着手した。様々な部位の皮膚で細胞分裂の様子をin vivo観察し、その3次元タイムラプス画像から分裂方向を3次元的に定量的に解析したところ、分裂方向の空間的な分布は観察部位によって異なることを見出した。また、皮膚深部でより高精細に観察を行うために、前年度に引き続き収差補正デバイスの開発にも取り組んだ。一方で、不死化ケラチノサイトを用いて3次元皮膚モデルを作製するために、播種する細胞密度等について検討を行った結果、3次元皮膚モデルの作製に成功した。更に、複数の分子を同時に可視化する方法を検討し、スーパーコンティニュウム光を使った新しい顕微鏡法の開発にも携わった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度は、樹立したH2B-EGFPヘアレスマウスの皮膚について、in vivoイメージングを成功させた。更に平成26年度は、細胞分裂の3次元タイムラプス画像を定量的に解析する方法を独自に考案し、実施した。その結果、厚さが厚い皮膚と薄い皮膚において細胞分裂軸の空間分布に違いがある可能性を示唆する重要な結果を得ることができた。また、紫外線照射の実験系を立ち上げ、刺激条件の検討を行った結果、皮膚の肥厚を確認できた。一方で不死化ケラチノサイトを用いたin vitroの実験については、平成25年度に達成できなかった3次元皮膚モデルを作製することに成功した。更に、これまでに作製したプラスミドを複数導入したケラチノサイトを用いてマルチカラーの3次元皮膚モデルを作製することも可能になった。
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Strategy for Future Research Activity |
分子配向イメージングを用いて、生きたマウスの皮膚を観察する。更に、紫外線照射したときの皮膚を、通常の経時的なイメージングと分子配向イメージングの両方を用いて観察する。一方で、不死化ケラチノサイトを用いた3次元皮膚モデルについては、経時的に観察するための観察方法を確立する。更に、これまでに作製したプラスミドを複数導入した3次元皮膚モデルを作製し、経時的に観察することによって、細胞骨格や接着分子等のタンパク質の局在の変化などを可視化することを目指す。
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Research Products
(4 results)