2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13J01717
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
高棹 真介 京都大学, 大学院理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 太陽 / フレア / 黒点 |
Research Abstract |
大きいフレアを起こす黒点の磁場はねじれを示すことが知られており、大フレアに伴ってねじれた磁束管の噴出が観測されている。それゆえ大フレアの発生を理解するにはねじれた磁束管の浮上から放出/噴出までの流れを理解することが本質的である。このことを踏まえて、私は本年度大フレアを起こすような黒点を形成するもととなりうるねじれた1、磁束管の対流層中の3次元的な浮上過程と、2、対流層から光球上への3次元的な浮上過程(つまり黒点形成の基本過程)を数値シミュレーションを用いて研究した。1について : ねじれの度合いによって磁束管の対流層中の浮上過程がどう変わるかを考察した。従来、黒点のもつ特徴の統計的性質を説明するために、対流層中を浮上する細い磁束管モデルがよく使われてきた。しかしこれはねじれの効果を無視したモデルであるため、ねじれが入った場合に磁束管の対流層中の浮上過程がどう影響を受けるかはよくわかっていなかった。そこで私は3次元シミュレーションを用いて、ねじれの効果を調べた。ねじれがあると浮上の過程で軸のうねり(これは黒点ペアの傾きが影響を受けることを意味する)が現れることが予想されるが、これまでの研究で、ねじれの強さだけでなく浮上の速さによってもうねりの度合いは影響を受けることがわかってきた。2について=今年度は数値的に困難なこの浮上過程のシミュレーションを行うためにシミュレーションコードの改良を行い、磁束の光球上への浮上過程の考察をし始めることができた。その結果、対流層、光球・彩層、コロナという物理量が非常に異なる大気の各層で起きている過程を、つなげて理解する準備が整った。これまでの結果から、浮上の過程で対流層からフレアのエネルギー源となる自由エネルギーがねじれの形で上空に運ばれ、その結果上空の磁場構造が変化し、下層の磁場構造も変えていく、という振る舞いが見えてきた。これは観測で見える下層大気の磁場構造と上空のフレアの現場となる領域の磁場構造がどのようにつながっているかを理解する上で重要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、まだ論文化にはさらなる研究が必要であるが、初年度に行う予定であった対流層中の磁束管の浮上過程と、次年度に行う予定であった光球上への磁束管の浮上過程の両方に取り組めたため、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究で、黒点領域の形成過程において、各大気層の磁場構造の特徴が徐々に見えてきた。これは観測データで見える太陽フレアの前後での各大気の磁場構造の理解を助けるため重要である。したがって、本年度はこの点に注目して研究を進める。また光球付近では対流が磁場構造を変える可能性をもつため、数値計算による対流の効果の検証が必要である。そのため、先述の内容が終わり次第対流の効果(つまり光球での幅射冷却)をシミュレーションに取り入れることを考えている。
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Research Products
(7 results)