2013 Fiscal Year Annual Research Report
非線形超音波スペクトロスコピーによる積層構造の高感度界面健全性評価
Project/Area Number |
13J01754
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
石井 陽介 京都大学, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 超音波非破壊評価 / CFRP積層板 / 層間界面剛性 |
Research Abstract |
本研究の課題である「非線形超音波スペクトロスコピーによる積層構造の高感度界面健全性評価」の構築には、積層構造における超音波伝搬特性の理論的把握が必要不可欠である。そこで本年度は非線形超音波伝搬特性の研究に先立ち、積層構造における線形な超音波伝搬特性を明らかにすることを目的に理論解析を実施した。具体的には、炭素繊維強化複合材料(CFRP)からなる積層板を考え、超音波が積層板に斜角入射するときの伝搬特性に関して検討を行った。CFRP積層板の各層間に存在する樹脂リッチな領域を線形なスプリング界面でモデル化し、各層を繊維方向に関して横等方性を有する均質異方性粘弾性体と仮定することで積層板のモデル化を行い、斜角入射超音波の振幅反射・透過率を理論的に求める計算法を構築した。そして、CFRP積層板の超音波透過特性に及ぼす「入射角度」、「入射周波数」、「層間界面剛性(スプリング界面におけるバネ剛性)」の影響に関して考察を行った。その結果、斜角入射超音波の振幅透過率は層間界面剛性のみならず入射角度や周波数にも強く依存することが町らかとなり、またある特定の入射角度において透過率の層間界面剛性依存性がより顕著になることもわかった。これらの傾向は、層間界面剛性(層間界面健全性)を超音波により非破壊評価するにあたって有用であると考えられる。さらに本年度は、当初計画していた斜角入射超音波測定装置の構築も行った。水中に置かれた試験片に対して超音波を様々な角度で入射可能な斜角入射ジグを作製し、入射角度の制御および測定波形の収録を自動で行う測定系を構築した。そして、本装置を用いて積層構成が異なるCFRP積層板(一方向積層、直交積層・擬似等方積層)に対して透過波の測定を行い、上記理論解析との比較を行った。その結果、透過波振幅の入射角度依存性などの傾向が理論および測定結果の双方で比較的良好に一致することを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究内容として当初計画していた「積層構造における線形な超音波伝搬特性の理論解析」と「斜角入射超音波測定系の構築」が計画通り進展したため。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は、本年度の理論解析で明らかとなった超音波伝搬特性をもとに、積層構造の層間界面剛性評価法の確立を行う。そのためには測定値と理論値の間でフィッティングを行う必要があり、本研究ではシンプレックス法による非線形最適化を行うことで層間界面剛性の同定を試みる。また、一定期間温水に浸すことで吸水させたCFRP積層板に対して層間界面剛性の評価実験を行い、吸水率が界面特性に及ぼす影響に関して検討を行う予定である。
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Research Products
(3 results)