2014 Fiscal Year Annual Research Report
非線形超音波スペクトロスコピーによる積層構造の高感度界面健全性評価
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13J01754
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
石井 陽介 京都大学, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 超音波非破壊評価 / CFRP積層板 / 層間界面剛性 / 吸湿 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度の研究では、研究課題である「非線形超音波スペクトロスコピーによる積層構造の高感度界面健全性評価」に向けて、積層構造の層間界面健全性評価に関する実験的および理論的検討を行った。実験的検討として、吸湿した炭素繊維強化複合材料積層板(CFRP積層板)に対して昨年度に構築した「超音波反射スペクトル極点周波数分布による層間界面剛性およびプライ縦波速度の評価法」を適用した。90℃のイオン交換水中にCFRP積層板を浸漬させることで異なる吸湿率を有する試験片を作製し、その層間界面剛性およびプライ縦波速度を評価した。これにより、本評価法の実用性を検証するとともに、吸湿が材料特性変化におよぼす影響を考察した。その結果、吸湿率の増加とともに層間界面剛性およびプライ縦波速度の両者が減少することがわかった。 次に、CFRP積層板に斜角入射した超音波の伝搬特性に関して理論的検討を行った。特に昨年度の解析で見られた振幅透過率が著しく低下する周波数帯に着目し、その発生挙動(界面剛性依存性や入射角度依存性)を考察した。フロケの定理を用いて無限周期構造中を伝搬する波の分散関係を導出し、有限積層構造における振幅透過率と比較を行った。その結果、分散関係に現れるバンドギャップ(各層間界面からの反射波の位相整合に起因して、波が無限周期構造中を伝搬できない周波数帯)が、有限積層時の透過率が低下する周波数帯と良好に対応することがわかった。また、昨年度に構築した斜角入射超音波測定装置を用いて、11層で構成される一方向強化CFRP積層板の透過波を様々な入射角度で測定し、振幅透過率を算出した。その結果、透過率が低下する周波数帯が測定結果において確認され、その入射角度依存性が理論と良好に一致することがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究内容として当初計画していた「吸湿したCFRP積層板の層間界面健全性評価の実験的検討」と「積層構造の超音波伝搬特性に関する理論的検討」に関しておおむね計画どおりに進展したため。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度に行ったCFRP積層構造の斜角入射超音波伝搬解析において、振幅透過率が著しく低下する周波数帯が層間界面剛性および入射角度に依存していることがわかった。したがって、これらの周波数帯を様々な入射角度で測定し理論値とフィッティングを行うことで層間界面剛性やプライの異方性弾性率を非破壊評価できる可能性がある。来年度はその評価法の確立を目標に研究を行う予定である。また、本年度の解析ではCFRP積層板の中でもっとも単純な積層構成である一方向積層を取り扱った。来年度は、伝搬特性がより複雑になることが予想される直交積層板や擬似等方積層板に対しても理論解析および測定値との比較を行い、超音波伝搬特性の解明を試みる。
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Research Products
(4 results)