2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13J01786
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
爲季 和樹 筑波大学, システム情報工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 空間詳細化 / ODフロー |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度は、特に、産業連関表の空間詳細化(小地域単位の産業連関表の推計)に関する研究に重点を置いた。 小地域単位の産業連関表の推計・作成(地域分割化)に関する研究においては、既存統計を用いて推計を行うノンサーベイ法のひとつであるLQ法に着目し、現在に至るまでに提案されてきた種々のLQ法(SLQ,CILQ,FLQ,AFLQ)を用いて日本の地域産業連関表を推定することで、それらの推定精度の比較を行った。世界においても産業連関表等のデータ整備が進んでいる国は少ないことから実証分析は数少ないが、本研究で得られた結果は概ね既存研究における結果と同様の傾向を示しており、LQ法による産業連関表の地域分割化の有用性が確認できた。この研究の成果に関して,2014年度は国際産業連関学会(IIOA)の国際会議にて発表を行った.この国際会議において、FLQの開発・提案者と意見交換をし、査読付き学術論文の投稿に関して有益なアドバイスを頂戴した。特にLQ法は「地域内」産業連関表の推定を目的としている方法論のため、地域間の交易を推定することが困難である。したがって、小地域における「地域間」産業連関表を推定する際にはLQ法以外の方法論を用いる必要性がある。 この点に関しては、古くから地域間の流動を説明する統計モデルとして用いられてきた重力モデルを援用する方法論の開発を行った。ただしこの方法論は産業連関表のみならず,発地から着地の流動量を表すOD表全般に適用可能なものとなっている。また、この方法論は(i)経済産業省が作成・公開している9地域間産業連関表が所与の下での小地域単位の産業連関表の推定、(ii)対象となる小地域における産業ごとの生産額(産業連関表における列和・行和)が所与の下での推定、と二つの異なるアプローチ法となっている。この成果の一部については2014年度土木計画学春大会において発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
小地域単位の産業連関表の推計として、当初はLQ法をベースとした新たな方法論の開発を行う予定であったが、LQ法では地域内産業連関表の推定を目的としているため地域間の交易を推定するには限界があった。したがって当初の予定を変更し、重力モデルを援用した統計学的アプローチによる方法論の開発に着手したが,今後も計画通りに研究を進めることが可能であると判断できる状態である。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画に沿って研究を遂行し、予定通りに成果を挙げることを目標とする。ただし、産業連関表のみを対象とした方法論ではなく、ODフローの様により広義なデータ形態でも適用可能な方法論として研究を進めていくことで、様々な分野で活用可能な手法の開発を行っていく予定である。
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Research Products
(3 results)