2013 Fiscal Year Annual Research Report
新規温度応答性材料の精密合成:イミダゾリウム塩を用いた分子設計
Project/Area Number |
13J01806
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
吉満 隼人 大阪大学, 理学研究科, 特別研究員(DC2)
|
Keywords | ブロックコポリマー / UCST / LCST / 光散乱 / イオン液体 / カチオン重合 |
Research Abstract |
本年度は1. 水中において高温で不溶となるLCST型セグメントと、イミダゾリウム塩型側鎖を有し低温で不溶となるUCST型セグメントからなるブロックコポリマーの自己組織化挙動を光散乱測定により明らかにし、2. 有機溶媒/イオン液体分散系でのカチオン重合のモデル反応として、イオン液体中でのカチオン重合を検討した。1では、まず動的光散乱測定によりブロックコポリマーの流体力学的半径を求めたところ、低温では55㎚、高温では32㎚の集合体が形成されていることがわかった。また、静的光散乱測定により求めた回転半径と比較したところ、低温ではミセルが形成されており、高温ではベシクルが形成されていることが示唆された。また、2では、イミダゾリウム塩型イオン液体中、種々の金属塩化物を触媒としてイソブチルビニルエーテルを重合した。生長末端カチオンの安定化に有効であるとされる添加塩基、触媒として四塩化チタンを用いたところ、ヘキサフルオロリン酸アニオン、N-ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドを対アニオンとして有するイオン液体中では、数平均分子量は計算値より低いものの、分子量分布の狭いポリマーが得られた。カチオン重合に使用される溶媒としては比較的極性の高いジクロロメタン中での重合速度と比較したところ、イオン液体中では重合が大幅に加速されていることがわかった。 このように本年度は、温度応答性ポリマーの自己組織化挙動を検討するには必要不可欠である、集合体の形態やサイズ、またモデル反応として期待されたイオン液体中でのカチオン重合が制御されることを明らかとしており、得られた成果は非常に重要である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画の通り、ブロックコポリマーの形成する集合体のサイズや形態を測定し、またイオン液体中でのカチオン重合も、得られたポリマーの分子量は計算値に届かないものの狭い分子量分布を有しており、おおむね順調に進展している。
|
Strategy for Future Research Activity |
合成したブロックコポリマーが自己組織化し集合体を形成することが明らかとなったので、今後はそれぞれの温度で形成する集合体の性質を検討していく。また、イオン液体中でのカチオン重合の更なる制御に向けて、分子量の低下の原因を探り解決する。さらに、対アニオンの性質が重合挙動に与える影響についても検討していく。
|
Research Products
(4 results)