2013 Fiscal Year Annual Research Report
折り紙工学の数理を活用した可展性を持つ形状の効率的な設計に関する研究
Project/Area Number |
13J01807
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
鶴田 直也 筑波大学, システム情報工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | コンピータグラフィックス / 形状処理 / 折紙工学 / 曲げ加工 / 折り紙 |
Research Abstract |
本研究は可展性を考慮して形状設計を行う手法の開発に取り組むものである. 従来のCADシステムでは困難であった平面に展開できるという制約を満たす形状の設計手法を提案し, 計算機上でデザインが可能なシステムとして実現することを目的とする。以下、平板素材の折り曲げによる立体形状設計と平坦折り紙の数理に基づく作品発見システムについての成果を報告する。まず、前者は平板素材に細長い切り込み(スリット)を入れることで形状変形の自由度を向上させて、その状態で形状設計を行うものである。素材にスリットを入れることで意匠性の高い形状を作りだすというアイデアは建築家の成瀬らによるもので、本研究ではそれをコンピュータ上で実現するための手法の提案とソフトウェアの開発を行った。このソフトウェアには可展性を維持しつつユーザの意図を反映した形状を得るための最適化計算を組み込んでおり、対話的な設計が可能になっている。提案システム上で設計した形状は、その金型を3Dプリンタで作製し、塩化ビニル板を熱しながら押し付けて形成することで、正しく平板素材から作れることを確認した。これらの成果はCAD/CAMに関する国際論文誌であるInternational Journal of CAD/CAMに採択された。続いて、後者の平坦折り紙の作品発見システムについて述べる。本システムはランダムに紙を折って形状をユーザに提示し、その中から動物や花、ものの形に見える形状を探すことで作品発見を行うという画期的なシステムである。得られる折り紙の形はコンピュータで自動設計されたものであるが、形を見立てるという点でユーザは個性を発揮できる。この研究は日本シミュレーション学会主催の国際会議JSST2013でプレゼンテーション賞を受賞した。また、大日本印刷が運営しているドットDNPにてユーザテストを兼ねたワークショップも開催しており、ウェブ記事の掲載などを通して折り紙研究の理解と普及にも貢献している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平板素材の折り曲げによる形状設計は、対話的に設計が可能なシステムを開発し、塩化ビニル板を使用した実際の製作を通して形状設計が正しく行えることが確認できた。平坦折り紙の作品発見は、ワークショップを開催して提案システムの有効性評価を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
システム上での設計から実際の製作までを通してシステムの評価を行うことが達成できた。現在のところは塩化ビニル板を加熱しながら形成するという手法をとっているが、このような複雑な曲げ加工を金属板などで行うための加工法についての調査を行う。またコンピュータ上での表示をよりリアルにするための描画手法を検討している。平坦折り紙作品の発見システムは、折り畳み形状を自動生成するアルゴリズムの改良を計画している。国際会議への採択も決定しているため、こちらも平行して研究を進める予定である。
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Research Products
(5 results)