2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13J01835
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
若杉 勇太 大阪大学, 理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 消散型波動方程式 / 拡散現象 |
Research Abstract |
消散型波動方程式の解の大域的存在および漸近挙動について研究し, 以下の成果を得た. まず, 時空変数に依存する摩擦頃およびべき乗型の非線形項を持つ半線形消散型波動方程式の解の時間大域的存在について考察した. そして空間1次元かつ, 摩擦が時間遠方で1次のオーダーよりも速く減衰する場合に, 解の有限時間爆発の結果を得た. これは1980年の加藤氏による半線形波動方程式の時間大域解の非存在の結果に対応するものであり, 摩擦が時空変数に依存する場合の解の爆発に関する結果としては最初のものである. これにより, 「研究の目的」で述べた, 摩擦が非効果的な場合に臨界指数がStrauss指数と一致するという予想が, 空間1次元の場合に解決できたこととなる. 次に, 空間変数に依存する摩擦項を持つ線形消散型波動方程式に対し, 解の時間無限大における漸近形について考察した. そして, 摩擦項が空間遠方で1次のオーダーよりも遅く減衰する場合に, 解の漸近形が対応する熱方程式の解で与えられることを示した. これは拡散現象と呼ばれ, 定数係数および時間変数に依存する摩擦の場合には詳しい研究が既になされているが, 空間変数に依存する場合にはこれまでになかったものである. 時間変数に依存する摩擦の場合には, Fourier変換により方程式を助変数付きの常微分方程式とみなせるが, 空間変数に依存する摩擦の場合にはこの方法が適用できないのが困難な点であった. そこで, 2001年Todorova氏, Yordanov氏らにより導入された重み付きエネルギー法を応用して, 解の高階導関数までの重み付きエネルギー評価を求めることにより, 拡散現象を示した. この手法は時空変数に依存する摩擦の場合にも有効であり, 今後の研究の発展にも重要な役割を果たすと思われる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請時の研究の目的のうち, 摩擦が非効果的な場合の臨界指数の決定の問題については, 空間1次元の場合に肯定的な結果を得ることができた. また線形の解の拡散現象について, 摩擦が空間変数に依存する場合の結果および, 一般の時空変数に依存する場合にも有効な手法を開発することもできている, 従って当初の研究計画と比較して, おおむね順調に進展していると言える.
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究課題遂行については, まずは上で述べた成果をさらに拡張して行く. 第一に, 摩擦が非効果的な場合の臨界指数問題について, 高次元の場合を解決する. 第二に, 線形消散型波動方程式の拡散現象について, 摩擦が時空変数に依存する場合への拡張を行う. これらと並行して, 研究の目的で述べた, 摩擦が遠方で丁度1次のオーダーで減衰する臨界の場合についても, 解の漸近形の導出および, 非線形問題の考察を行う.
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Research Products
(3 results)